大麻でADHDが改善されるのか?大麻とADHDの関係性と治療に大麻を選んだ男性の話
皆さんはADHDという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ADHDとはAttention-deficit hyperactivity disorderの略で、日本語で注意欠陥・多動性障害といいます。
ADHDは発達障害の一種で、2014年時点の国内患者数は約4万7千人。多くの人がADHDのため、社会の中で苦しんでいます。ADHDの現在の治療法では、リタリンなどの合成麻薬が用いられます。
麻薬の効果によって一時的にADHDの改善にはなりますが、あくまで対処療法でありADHDを根治することはできません。
また、リタリンは強力な麻薬で副作用も強烈なものです。依存性も高く、依存症になってしまう問題もあります。近年、このリタリンに代わるADHD治療薬として注目されているのが大麻です。
そこで今回は大麻とADHDの関係性と治療に大麻を選んだ男性の話をご紹介します。
大麻については以下の記事で詳しく解説しています。
⇒大麻とは?成分や植物としての「特徴」「効果」「法律」についての【完全ガイド】
ADHD(注意欠陥・多動性障害〉とは?
まずはADHDのことについてしっかり知っておきましょう。冒頭でもお話したように、ADHDは「注意欠陥・多動性障害」という発達障害です。
ADHDは、
- 不注意(集中力がない)
- 多動性(じっとしていられない)
- 衝動性(考える前に行動してしまう)
の3つの要素を含む発達障害で、人によってどのような要素が出るかは異なっています。
ADHD患者の症状としては、以下のような症状が見られます。
- 机などにじっと座っていられない
- 宿題や授業、会議などに集中できずに他のことをしてしまう
- 忘れ物を頻繁にしてしまう
- ルールやマナーを守ることができない
- 考えずに行動してしまい、ミスを頻繁にしてしまう
このような症状がみられます。ADHDは、1994年に診断名ができた比較的新しい発達障害であるため、あまり世間に認知されていません。そのため、ADHD患者は他の人がしないような行動や失敗をするため、「ダメ人間」・「落ちこぼれ」と言われ、いじめや差別されることがあったそうです。
ADHD患者は未治療の場合はADHDの症状が頻繁に出てしまうため、まともな社会生活を送れない人が数多くいます。また、ADHDの症状は、先ほどあげた症状ぐらいで、外見などに特徴は出ません。そのため自分や周囲が気づくことはあまりなく、治療する人も少ないのが現状です・
高用量の大麻を使用したADHD患者は、ADHD治療薬の服用を止める可能性が高い
高用量の医療大麻を使用している患者は従来のADHD治療薬を使用することをやめる可能性が高く、CBNはADHD症状の重症度を軽減するのに役立つ可能性があることが研究により明らかになりました。
Rambam Maimonides Medical Journalに最近発表された研究[1]は、特定の大麻に含まれるカンナビノイドが注意欠陥多動性障害(ADHD)の症状を効果的に治療できるかどうかを明らかにすることを目的としています。
この仮説を検証するために、ADHDと診断され、イスラエルの医療大麻プログラムに登録されている成人59人を調査しました。
被験者は、簡単なアンケートを用いて、以下の点を自己報告するように求められました。
・医療大麻の使用
・ADHD症状
・不安レベル
・睡眠の質
これらの被験者を大麻使用量に基づいて2グループに分けました。
【高容量グループ】35人の被験者、医療用大麻を一日に4~12回使用し、月に40~70グラムの大麻を摂取
【低用量グループ】24人の被験者、一日平均三回、月に20~30グラムの大麻を摂取
他の6名:被験者は正確な用量を報告できませんでした。
被験者の半数は、自身が使用している大麻品種の正確な情報を報告しました。
それにより、研究者は、大麻に含まれるどのカンナビノイドがADHD治療に最も効果的であるかを調べることができました。
研究者らは、高用量グループの患者は、低用量グループよりも「THC」「THCV」「CBD」および「トランスβファルネセン(テルペン)」を多く摂取していたことを発見しました。
被験者のアンケートを分析した後、研究者らは「医療大麻成分(フィトカンナビノイドとテルペン)の高用量消費は、ADHD治療で処方される医薬品の減少と関連している。」ことを発見しました。
全体として、高用量グループの被験者は「すべてのADHD治療薬の服用を止める可能性が高い」ことが報告されました。
特定の大麻の品種をさらに分析した結果、「自己申告のアンケートで高用量CBNが、ADHDの症状を軽減する」ことも明らかになりました。
しかし、不安レベル、睡眠の質、睡眠時間は両グループ間に差は見られませんでした。
現在のADHD治療薬は、依存性と副作用が大きい
ADHD患者は、一般的にメチルフェニデート(リタリン、コンサータ)および他のアンフェタミン系製剤を含む精神刺激薬で治療が行われています。
しかし、これらの薬は習慣性依存があるだけでなく、以下のような多くの副作用を引き起こします。
- 不眠症
- 不安
- 高血圧
- 吐き気
- 頭痛
- 勃起障害など
対照的に、医療大麻治療は、副作用が起こることはまれであり、ADHDに対するより安全な大麻治療の可能性が高まっています。
研究者らは、以下の様に述べました。
アンケートに基づく研究の性質上、「医療用大麻がADHDを治療できる」と断定することはできませんが、今回の結果は、さらなる研究に取り組む価値があることを明確に示しています。
研究者らはまた、今後の研究で、将来的に「医療大麻がADHD治療の適格条件として承認される可能性がある」ことを示唆しています。
この研究は、医療用大麻が慢性疼痛やその他の症状に苦しむ患者がオピオイド、ベンゾジアゼピン、その他の習慣性医薬品の使用を減らす可能性のある先行研究を支持しています。
ADHDで苦しんでいたとある男性の話
Tyler Hurst氏は、ADHDで苦しんでいました。彼のADHDは衝動性優勢型で、考える前に行動や言動をしてしまい周囲にあまりよく思われていなかったようです。
彼は大学に通っていましたが、友人は1人もいませんでした。彼はこのような症状がおかしいと思い病院に行きましたが、最初はADHDと診断されずに双極性障害と診断されました。
そこで効果がある抗うつ約を飲んでいましたが、症状が改善されずに他の精神科医に診てもらい、ADHDと診断されました。そして、ADHD治療のためにリタリンを服用し始めました。
リタリンによるADHD治療
リタリンは覚せい剤と類似した構造をしており、効果も覚せい剤と似ています。リタリンのおかげで、集中力が高まりADHDの症状は治まりました。
しかし、リタリンは麻薬ですので多くの副作用があります。リタリンの一般的な副作用としては、食欲減退や不眠症が挙げられます。
Hurst氏は、特に不眠症で苦しんでいました。リタリンは覚醒作用が強いので、1度飲むとなかなか眠ったりすることはできません。
また、不眠症やリタリンの影響からか、常に不安を感じるなど、まともな生活ができませんでした。
他の薬でのADHD治療
Hurst氏は、リタリンの副作用が辛いため、他の薬(抗うつ薬)などを使うようになりました。残念ながら薬を変えてもADHDの症状はあまり改善されず、代わりに副作用として自殺衝動などが出てしまったようです。
彼がADHDの治療を模索していた頃は症状が改善されていないため、仕事など上手くいきませんでした。彼はADHDのせいで2年間も安定した仕事に就くことはできませんでした。
大麻との出会い
そんな苦しんでいたHurst氏でしたが、大麻と出会い今までの状況が一変します。彼が大麻を吸ってみると、今まで感じていた不安感は和らぎました。
大麻の効果はそれだけでなく、大麻を吸うことによって仕事への集中力も高まり、3時間で9時間分の仕事を終えるなど今までには考えられない成果が出たのです。
彼はその後大麻が合法化されているオレゴン州ポートランドに引っ越し、様々な大麻を試しました。特にTHC(テトラヒドロカンナビノール)濃度が高い大麻を吸うと、非常に集中力が増して物事を効率的に行えるようになったそうですが、記憶力低下という副作用がありました。
CBDとTHCの併用
大麻では記憶障害が起きるため、Hurstは医療用大麻製品を利用します。THCによる記憶障害が出ないよう、CBDとTHCの比率が5:1もしくは6:1になるように調整して、オイルなどで摂取しました。
そうすると、記憶障害も出ずにADHDの症状も緩和され、仕事などをこなせるようになりました。
THCとCBDの違いについては以下の記事で詳しく解説しています。
⇒【THCとCBDの違い】効果や合法性、副作用など徹底比較!
大麻のADHDへの効果は証明されている
2017年に行われた研究では、大麻抽出物を摂取することでADHDの多動性と衝動性が改善することが分かりました。また、大麻分野の著名な医学研究者であるDr. David Bearman氏も大麻がADHDの症状を改善することを認めています。
Hurst氏が、ADHD治療に大麻を使用したことは間違っていなかったのです。
まとめ
大麻はがんや白血病など様々な病気に効果がありますが、ADHDにまで効果があるのは非常に驚くべきことです。
日本で大麻が解禁されれば、ADHD患者はもちろんのこと自分がADHDと気づかずに苦しんでいる人も知らず知らずのうちに治療することができます。
ADHDを伴う症例の不眠や不安に対して、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬が処方されていることがありますが、ADHDを伴う症状は、ベンゾジアゼピンへの依存を形成しやすいことが報告されています。
抗不安薬、睡眠薬として用いられるベンゾジアゼピン系薬剤は、数十年も前から強い精神的・身体的依存性が指摘されているにもかかわらず、日本では世界一多く消費されているのが現状です。
「薬が患者を生み、症状を悪化させる仕組み」を改善し、ナチュラルで副作用のない「医療大麻」を使用できる社会が訪れることを期待しています。
現在ADHDで苦しんでいて、症状が改善されない人は大麻合法国に行き、大麻を試してみるのもいいかもしれません。
参考サイト
・[1]Cannabinoid and Terpenoid Doses are Associated with Adult ADHD Status of Medical Cannabis Patients
・Herb
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