大麻はゲートウェイドラッグなのか?ゲートウェイドラッグ理論に対する主張を調査!
大麻に対する悪いイメージを形成している根拠の1つに「ゲートウェイドラッグ」という理論があります。
ゲートウェイドラッグ理論を根拠に大麻の合法化に反対する層も多く、一般的な認識としても大麻がゲートウェイドラッグになるというイメージが強くあります。
しかし、このゲートウェイドラッグは確立された理論というわけではなく、あくまで仮説でしかありません。
そこで今回は大麻がゲートウェイドラッグなのかどうかを、さまざまな観点から検証していきます。
目次
ゲートウェイドラッグとは?
「ゲートウェイドラッグ」とは、副作用や依存性の弱いドラッグの使用を継続することで、コカインやヘロインといったより強いハードドラックの使用のきっかけになるという理論。
ゲートウェイドラッグとして、酒やタバコ、大麻などがハードドラックの「入り口」として作用するというのが根拠となっています。
ゲートウェイドラッグ理論が出てきた背景には、以下のような理由が挙げられます。
- ゲートウェイドラッグの使用によって、ドラッグ全般の抵抗感が下がる
- ゲートウェイドラッグの使用によって、より強い快楽を求める傾向にある
- ゲートウェイドラッグが法的な規制物質だった場合に、ドラッグ売買のコミュニティと繋がりを持つ
大麻の合法化に反対する層では、このゲートウェイドラッグ理論が根強く支持されており、イメージとして受け入れやすいことから幅広く知られている理論でもあります。
しかし、さまざまな調査データなどから、大麻がゲートウェイドラッグになるという根拠は見つかっていないため、理論自体の信憑性については明らかになっていません。
大麻=ゲートウェイドラッグに対する検証
大麻がゲートウェイドラッグだとみなされるのには、いくつかの理由が考えられます。
しかし、それらの中には事実は異なる内容も含まれており、大麻に対する過剰な悪いイメージが付いているのも事実です。
ここでは、大麻がゲートウェイドラッグとしてみなされている理由について1つずつ検証していきます。
①大麻を使用するとハードドラックを使うきっかけになる
大麻を使用することで、ヘロインやコカインといったハードドラッグに手を出す契機になるという見方が強いです。
元々、「ゲートウェイドラッグ」という言葉は1980年代に普及し、娯楽用物質を使用する人々の多くが「大麻」から使用を始めるという観察に基づいています。
確かに、大麻に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール)には、精神活性作用が含まれており、脳内の神経経路に影響を及ぼすことで、ドラッグの魅力に取り憑かれてしまうと主張する人もいます。
ハードドラックの使用者の中に大麻の使用経験がある人は多いですが、それ自体が「大麻=ゲートウェイドラッグ」を立証する証拠にはなりえないでしょう。
また、大麻はその他の娯楽用物質よりも入手が容易で、価格も手頃であるため、そういった方がまず大麻から始めるというのは自然な傾向です。
全米科学アカデミーの医学研究所が1999年に発表した報告書によると「大麻が持つ生理的作用が他の薬物への飛び石になっていることを示すデータは存在しない」と発表しています。
さらに、ニューヨーク・タイムズ誌が行った調査では、大麻使用経験のある1億1100万人のうち、その後ハードドラックを使用したのはわずか4%でした。
このように大麻がゲートウェイドラックではないという調査データも出てきており、逆に理論を裏付けるデータがないことが理論を否定する根拠と言えるでしょう。
大麻が規制されている日本でも娯楽用物質の使用者の83.2%が、最初に大麻を使用していなかったというデータが示されています。
大麻自体にゲートウェイドラッグとなる作用が含まれているとは考えづらく、大麻からハードドラックを使用するには、個人的、社会的、遺伝的、環境的要因が複雑に絡んでいると考えた方がいいでしょう。
②大麻には中毒性がある?
ゲートウェイドラッグ理論を否定し、大麻の合法化を支持する人の中には、大麻に中毒性がないことを根拠にすることが多いです。
しかし、2018年に発表された「StudiesTrusted Source」のレビューによると、他の薬物中毒と同様に大麻の使用によって中毒症状が生じる可能性があることを指摘しており、大麻が不足することで気分に起伏が生まれたり、離脱症状が生じる可能性を指摘しています。
しかし、この点についてはニコチンやアルコールにも同様のことが言えます。
③最近の大麻は強力になっている
現在使用されている大麻はかつてないほど強力になっていると指摘されています。大麻に含まれる精神活性成分のTHCが高濃度で含まれているという指摘ですが、これは概ね正しいといえるでしょう。
2016年に「studyTrustedSource」は、麻薬取締局(DEA)によって押収された大麻の39,000サンプルを調査したところ、1994年から2014年にかけて大麻のTHC含有量が劇的に増加したと発表しています。
1995年のTHCレベルが約4%だったのに対して、2014年には約12%にまで上昇しており、この事実が大麻の使用に対して懸念を集めているのは事実です。
しかし、娯楽用・医療用の大麻を合法化している地域では、より多様で効力の低い大麻製品も販売されているため、個人の使い方の問題に帰結するかもしれません。
④過剰摂取によるリスク
大麻の過剰摂取によって死に至ってしまうリスクを懸念している人も多いですが、大麻の過剰摂取で死亡することはまずありません。
大麻の推定致死量は1500ポンド(およそ681キログラム)を15分以内に摂取しなければなりません。大麻の使用による致命的な過剰摂取は記録されておらず、その他の要因によって死亡する事例ばかりといえるでしょう。
ただし、過剰な大麻の使用によって以下のような症状が生じる可能性はあります。
- 錯乱
- 不安と妄想
- 妄想や幻覚
- 吐き気
- 嘔吐
- 心拍数と血圧の上昇
過剰摂取によって死に至るリスクは見られないものの、使いすぎによって気分を悪くすることがあるため注意が必要です。
ゲートウェイドラッグ理論は「思い込み」の要素が強い
ここまでゲートウェイドラッグ理論に関連する大麻にまつわるイメージについて調査していきました。
大麻を反対とする根拠として使われることが多い「ゲートウェイドラッグ理論」ですが、この理論を証明するような証拠は存在しておらず、主観的な思い込みによって理論が補強されているといえるでしょう。
大麻に対して賛成する側も反対する側も、イメージだけで論じるのではなく、客観的なデータを元に、大麻の有用性やリスクについて正しく理解する必要があります。
大麻を使うことで他の薬物を使用するケースがあったとしても、それが大麻の作用によるものではなく、それ以外の要因が働いている可能性は充分考えられるはずです。
まとめ:ゲートウェイ理論はどっちの味方?
大麻に関するゲートウェイドラッグ理論について解説しました。
「ゲートウェイドラック理論」はそもそも大麻が他のハードドラックの使用に入り口になることを懸念して主張された理論です。
しかし、大麻合法化を推進する人の中には、大麻の相対的な無害性を根拠に、大麻を合法化してアクセスを高めることでハードドラックに晒されるリスクを下げるとも主張されています。
このようにゲートウェイドラッグ理論は皮肉にも大麻賛成派・反対派の両方をサポートする理論として使用されています。
しかし、ゲートウェイドラッグ理論が立証されていない現状を考えると、議論の根拠として持ち出すこと自体にも注意が必要です。
【参考】
・healthline:‘Gateway Drug’ or ‘Natural Healer?’ 5 Common Cannabis Myths
・National Institutes of Health:Marijuana Research Report Is marijuana a gateway drug?
・verywellhealth:Is Weed Really a Gateway Drug?
・weblio辞書ゲートウェイドラッグ
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Kohei
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