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Project CBD Japan ディレクター Grean Zoan Japan 理事 三木直子

【医療大麻の正しい理解を広めたい】Project CBD日本語版ディレクター三木直子さんインタビュー

医療用大麻の合法化を実現するためには、大麻やCBDに対する正しい理解を促進し、ネガティブなイメージを転換することが欠かせません。

求められるのは、優れたコンテンツを広く紹介し、人々の意識を変えていくことです。

そのきっかけとして期待されているのが、カンナビノイドの研究や医療利用、規制、文化に関する膨大なコンテンツを掲載している、米国の非営利団体「Project CBD日本語版」のウェブサイトです。

同サイトの翻訳を手掛けられた、Project CBD日本語版のディレクターで一般社団法人Green Zone Japan 代表理事の三木直子さんにお話を伺いました。

「大麻」「CBD」との出会い

大麻草

まずは簡単に自己紹介をお願いします。

翻訳家の三木直子と申します。2000年頃から出版翻訳の仕事を始め、ノンフィクション書籍を中心に約30冊の翻訳を手掛けてきました。

医療用大麻やCBD関連では、『マリファナはなぜ非合法なのか』(スティーブ・フォックス、ポール・アーメンターノ、メーソン・トヴェルト著 築地書館刊)や、『CBDのすべて』(アイリーン・コニェツニー、ローレン・ウィルソン著 晶文社刊)の翻訳・出版のほか、2020年11月、米国カリフォルニア州に拠点を置く、非営利団体「Project CBD」の日本語版ウェブサイトを公開しました。

三木さんと医療用大麻、CBDとの出会いについて聞かせてください。

医療用大麻の存在を知ったのは2007年か2008年頃、アメリカ人の著作を通してでした。また、日本でもクローン病の患者さんを中心に、医療用大麻を使いたいと考えている方がいらっしゃることを、成田賢壱さんのツイートで知りました。

これをきっかけに、日本でも医療用大麻を使えるようにしていきたいと思ったんですね。それにはまず人々の大麻に対する偏見をなくすことが必要だということで、2011年に『マリファナはなぜ非合法なのか?』を翻訳・出版するとともに、この本のFacebookページをつくって、海外の情報を翻訳・発信する取り組みもスタートしました。

そのうち、カンナビノイド研究の世界的権威であるイーサン・ルッソ博士をはじめとして、海外の専門家を日本に招き、医療従事者向けの講演を行ってもらいたいと考えたのが Green Zone Japan 設立のきっかけになりました。

「Project CBD」の日本語版ウェブサイトの立ち上げ

画像出典:Project CBD

「Project CBD」の日本語版ウェブサイトの制作に取り組まれることになったきっかけについて聞かせてください。

マーティン・リー(写真左)

2014年に「Project CBD」の共同創設者・ディレクターであるマーティン・リーさんとシアトルのヘンプフェスで知り合い、交流を続けているうちに、日本語版をつくろうという話になったんです。2016年頃のことです。

互いに忙しかったこともあり、なかなか実現できなかったのですが、2017年に医師の正高佑志さんと一緒に設立した「一般社団法人Green Zone Japan」が「Project CBD」の事務局となって、ようやく2020年に日本版をリリースすることができました。実に4年越しの目標実現となりました。

「Project CBD」のウェブサイトには、カンナビノイドの研究や医療利用、規制、文化に関する良質なコンテンツが膨大に掲載されています。

アメリカでこの業界にいる方で知らない人はまずいませんし、米国でカンファレンスやセミナーに出席していると、「より詳細な情報は、Project CBDのウェブサイトをご参照ください」といったかたちで、よく引き合いに出されるくらい、信頼性の高いウェブサイトなんですね。

翻訳家の仕事の本質は、海外の優れたコンテンツを見つけ出して日本語に訳し、日本の人々に広く読んでもらうということです。そういう意味で、「Project CBD」は日本語に翻訳すべきコンテンツだと思っていたんです。

「Project CBD」を通して日本の人々に何を伝えたいですか?

「Project CBD」がすごいのは、研究者が基礎研究を進めている段階から、CBDは医療用大麻の合法化を推し進めるための強力な武器になると考え、その普及に向けて情報を積極的に発信したことです。

これこそまさしく「Project CBD」の功績であり、日本の方にも是非お伝えしたいポイントです。

現在、日本でもCBDの人気が高まっています。三木さんは、どのような感想をお持ちでしょうか。

医療用大麻について全く考えたことのなかった人たちに門戸を開いたといいますか、少なくとも関心を持ってもらうきっかけにはなっていると思います。

ただし、CBDを次々と現れては消えていくサプリメントの一つとして消費するだけでなく、医療用大麻の一つとして、もっと大きな可能性を秘めていることを知っていただくことが大切です。

啓発活動の一環として『CBDのすべて』という本を訳しましたが、さまざまな取り組みを通して人々の意識を変えていくことが、医療用大麻の合法化には欠かせないと思います。

大麻=悪ではない。CBDも大麻の一部

大麻草

日本人の多くは、大麻に対してネガティブな意見を持っていると思います。三木さんは大麻に対してどのような考えをお持ちですか?

私は普通のサラリーマンの家庭に生まれ、大麻とはまるで接点がないまま育ちました。闇市場で大麻を売っている人のことも全く知りません。

だからといって、大麻が悪いものだと思ったことも一度もないんですよね。接点がなかったがゆえに、良いものとも悪いものとも思わなかったということかもしれませんが、「ダメ、ゼッタイ」という一言で、何の根拠も示さずに大麻を悪者扱いするのは理解できません。

2010年に翻訳した『マリファナはなぜ非合法なのか』は、大麻とアルコールを比較して、お酒が合法なのにマリファナが非合法なのはおかしいと主張する、非常に説得力のある本ですが、なぜ、日本人が大麻をタブー視してしまうのか、不思議で仕方がないんです。

では、日本人の大麻に対する考え方を変えるには、どうすればよいでしょうか。

そこが非常に難しいところで、私にも正解はわかりません。

ただ、理屈や知性に対して訴えるだけでなく、心情的、感情的な部分にも訴えかけた方が効果的なのかなと思っています。

大麻とCBDは分けて考えるべきという意見もありますね。これについてどのように思いますか。

そもそもCBDは大麻の一部ですから、分けようにも分けられないと思います。

医療用大麻という集合のなかにCBDという部分集合があるわけですが、CBDという小さな世界にとどまって、そこから一歩も出ようとしない方もいます。

また、CBD業者の中には、商品をたくさん売るために、大麻との関連性を知られないように工夫している会社もあります。

選択肢として理解できないわけではありませんが、正直残念ですね。CBDの周辺には、医療用大麻という広大な世界が広がっていることを、より多くの人々に理解してもらえるよう情報発信を続けていくつもりです。

最後に、読者に対してメッセージをお願いします。

2020年11月の「Project CBD日本版」を立ち上げて以降、「Project CBD」ウェブサイトへの日本からのアクセスが増えており、米国内からのアクセス数を上回るときもあるそうです。

このことは、日本人が医療用大麻に関する情報にいかに飢えていたかを物語るエピソードとして捉えられるでしょう。その意味で、私たちに課せられた責任は重大です。多くの人々に安心して読んでいただける記事をたくさん翻訳し、皆さんの期待に応えていきたいと思います。

それから、2021年の3月後半、「Project CBD」のウェブサイトの内容をリーダーズ・ダイジェスト社が編纂し、まとめた本が米国で発売されました。初心者向けの非常にわかりやすい本で、日本語版ももっか準備しています。

日本のCBD市場はまだまだこれからで、裾野の拡大に力を入れるべき段階にあります。初心者の皆さんが医療用大麻についての正しい理解を得られるよう、優れたコンテンツの翻訳を進めていきたいと思っています。

【プロフィール】
三木直子

Project CBD日本語版ディレクター。Grean Zone Japan 理事。2000年頃から出版翻訳の仕事を始め、ノンフィクション書籍を中心に約30冊の翻訳を手掛ける。

医療用大麻やCBD関連では、『マリファナはなぜ非合法なのか』(スティーブ・フォックス、ポール・アーメンターノ、メーソン・トヴェルト著 築地書館刊)や、『CBDのすべて』(アイリーン・コニェツニー、ローレン・ウィルソン著 晶文社刊)の翻訳・出版のほか、2020年11月、ディレクターとして米国カリフォルニア州に拠点を置く、非営利団体「Project CBD」の日本語版ウェブサイトを立ち上げ。

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Kohei

マリファナJP代表のKです。 日本経済に新しいマーケットを誕生させると共に、日本人に大麻の素晴らしさを伝え、1人でも多くの日本人に大麻に対する正しい理解をしてもらえる様に現在活動しております。
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