大麻の主成分であるTHCってどんな成分?THCの歴史や効果・効能を解説!
CBD商品を愛用されている方であれば名前を聞いたことがある「THC(テトラヒドロカンナビノール)。
大麻の主要な成分としても有名で精神活性作用を生み出すことから、アメリカなどで嗜好目的、医療目的の両方で親しまれています。
日本では大麻が違法となっているためTHCを含む商品の流通は禁じられており、誤って購入した場合でもトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
今回はTHC(テトラヒドロカンナビノール)について詳しく解説します。
大麻については以下の記事で詳しく解説しています。
⇒【大麻完全ガイド】大麻の成分や植物としての「特徴」「効果」「法律」について解説
THCを知る前に「カンナビノイド」を理解しよう
THCという成分が何かを知るためには「カンナビノイド」を理解する必要があります。
「カンナビノイド」とは、麻に含まれる化学物質のことで摂取すると脳や体の受容体と相互作用を引き起こして様々な効果を生み出します。カンナビノイドには100種類以上の種類が存在しており、その1つがTHCです。
また、CBDもカンナビノイドの1種として知られています。THCには、他のカンナビノイドにはない精神活性作用を生み出す効果があります。
カンナビノイドについては以下の記事で解説しています。
⇒カンナビノイドとは?大麻由来の成分「カンナビノイド」の種類や効果を解説!
THCとは?
THC(テトラヒドロカンナビノール)は、大麻由来の成分「カンナビノイド」の1種で、精神活性作用を含むという特徴があります。
他のカンナビノイドとは異なり、THCにのみ精神活性作用が存在するといわれています。
医療品・嗜好品として使われる大麻(マリファナ )の主要成分の1つでもあり、日本では大麻取締法によって所持や使用などが禁じられています。
大麻取締法については以下の記事で詳しく解説しています。
⇒大麻を吸うのは合法?おかしな法律”大麻取締法”の全貌を徹底解説
THCが発見された歴史
THCはイスラエルの化学者・ラファエル・メコーラムが発見[1]したことでも知られています。
1964年にTHCの分離および合成の研究によって、成分の存在が明らかとされ、人体にある「カンナビノイド受容体」や「 ECS(エンドカンナビノイド・システム)」の発見をしました。
この人物の研究成果がカンナビノイド研究の始まりとして位置付けられており、これ以後さまざまな研究が進められてきました。
エンドカンナビノイドシステム(ECS)については以下の記事で解説しています。
⇒エンドカンナビノイドシステム(ECS)とは?CBDとの関係も徹底解説
なぜ大麻はカンナビノイドを生成するのか?
大麻に多く含まれる化学物質の「カンナビノイド」ですが、植物にとっての「二次代謝産物」として知られており、植物の発育にとって主要な役割を果たすことはありません。
ただ、カンナビノイドといった二次代謝産物が植物の免疫システムとして機能することで、捕食者・寄生虫・害虫などから身を守る機能があるという仮説が有力になっています。
THCを摂取するとどのような効果を生み出す?
THCを摂取することでどのような効果が生み出されるのかについて解説します。よく言われる精神活性作用がどのような作用によって引き出されるのかについてもみていきましょう。
THCを摂取すると脳と中枢神経系に集中しているカンナビノイド受容体と結合します。これによって酔ったような状態を生み出すといわれています。
しかし、これは人間の身体が大麻のために進化してカンナビノイド受容体を生み出したというわけではありません。
内因性カンナビノイドは、ランニング中の陶酔感(ランナーズハイ)などが一般的に知られています。この体内のカンナビノイド(内因性カンナビノイド)と天然のカンナビノイド(THCなど)が相互作用を引き起こすように私たちの身体は進化しています。
THCを摂取すると短期的には以下のような効果があるといわれています。
- 高揚感
- リラクゼーション
- 鎮静
- 痛みの軽減
- 記憶障害
- 心拍数の増加
- 口渇
- 目が充血する
- 時間の知覚の遅れ
- 笑い
THCにはその他のカンナビノイドと共通するリラックスや鎮痛といった効果はあるものの、THCにしかない精神活性作用を生み出すため、以下のような副作用も存在します。
- めまい
- 不安/パラノイア
THCを使用することで長期的なリスクはある?
THCを使用することによる長期的なリスクに関しては、まだ確定的な証拠が出ていない段階にあります。
研究段階でもあるためリスクを裏付ける決定的な理論が存在するわけではありませんが、以下のような潜在的な影響を及ぼすと言われています。
①脳の変化
とある研究によって、2つの大脳半球をつなぐ脳梁と呼ばれる脳の領域で、頻繁なTHC消費と解剖学的変化の関連が発見されました。
大麻を使用した参加者のデータから、高濃度のTHCを毎日摂取した人と摂取したことがない人を比較した際、脳梁の微細構造に違いが示された[2]そうです。
しかし、こちらの研究は調査の性質上、結果の正しさを検証することが難しく、確定的な結論とまではいえないようです。
②気管支炎
THCを喫煙し続ける場合、気管支炎のリスクが高まります。
しかし、THC自体の問題ではなく、大麻エディブルなど代替の消費方法を選択することで、このリスクは防げると言われています。
③記憶
2016年に行われた研究[3]では、THCの長期消費による言語的認知機能の低下が示唆されています。研究の参加者は大麻の使用して5年ごとに15語のリストから1語の記憶を失うという結果が出ています。
ただし、この研究では、大麻の長期使用者のサンプルが少なく、調査結果がどの程度決定的なのかを知るのは困難であるといわれています。
④耐性
長期的にTHCを使用すると身体が耐性を獲得していきます。
そのため、長く使うほど望む効果を得るために消費量が増えるというデメリットがあり、許容範囲をオーバーしてしまうリスクが考えられます。
大麻の耐性をリセットする方法については以下の記事で詳しく解説しています。
⇒大麻を吸ってもキマらない?大麻の耐性の仕組みと耐性をリセットする方法
THCの医療的なメリットは何?
THCを使用することで得られるメリットはたくさんあります。例えば、以下の症状に効果的であることが明らかになっています。
- PTSD
- 神経障害性および慢性の痛み
- 不眠症
- 吐き気
- 炎症
- 関節炎
- 偏頭痛
- 癌
- クローン病
- 線維筋痛症
- アルツハイマー病
- 多発性硬化症
- 緑内障
- ADHD
- 睡眠時無呼吸
- 食欲不振
日本では違法でもあるため馴染みはありませんが、アメリカなどTHCが一部合法な国では大麻を医療用に使用することも一般的で、上記のような症状の治療に用いられることがあります。
これまで麻の研究は法規制によって初期段階に止まっていたものの、合法化が進展するにしたがって、研究のスピードもどんどん増していきました。
THCに限らず、その他のカンナビノイドについても上記のような症状に対する有効性を示す研究結果が数多く報告されており、将来的にはさらにカンナビノイドについての可能性を理解できるようになるでしょう。
THCとCBDの違い
THCとCBDはどちらもアメリカでは人気のあるカンナビノイドです。大きな違いとしては「精神活性作用の有無」にあり、THCを摂取すると陶酔感や幸福感を誘発しますが、CBDにはそういった効果はありません。
これにはTHCを摂取することで特定の受容体が活性化するのに対して、CBDでは活性化しないからといわれています。
THCとCBDの違いについては以下の記事で解説しています。
⇒【THCとCBDの違い】効果や合法性、副作用など徹底比較!
まとめ
THCがどういった成分なのかについて解説しました。日本では法律によって所持および使用が禁じれているため、あまり馴染みのない成分ではありますが、合法な国では娯楽用・医療用など幅広い用途で使われる成分でもあります。
日本に住む以上、THCを使用することはできませんが、CBDを普段摂取している方は関連する情報として知っておくといいでしょう。
【参考】
[1]wikipedia:thc
[2]cambridge.or:Effect of high-potency cannabis on corpus callosum microstructure
[3]JAMANETWORK:Association Between Lifetime Marijuana Use and Cognitive Function in Middle AgeThe Coronary Artery Risk Development in Young Adults (CARDIA) Study
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