CBDに抗がん作用はある?がんに対する研究や可能性について紹介
アメリカなどではがん治療の一環として、医療大麻が使用されています。抗がん剤治療や放射線治療に伴う副作用によって生じる痛みや吐き気を緩和するといった効果が期待できるといわれています。
ただ、最近の研究ではカンナビノイド自体に抗がん作用があるのではないかという報告もされています。
CBDといったカンナビノイドに抗がん作用があれば、がん治療の選択肢も増えますし、患者への負担をより軽減することができるでしょう。
今回はCBDなどのカンナビイドの抗がん作用について紹介していきます。
CBDについては以下の記事で詳しく解説しています。
⇒CBDとは何か?大麻の主成分であるCBDの効果・効能を徹底解説
CBDのがんに関する研究について
CBDなどのカンナビノイドに関する抗がん作用については、さまざまな研究が行われています。
これまでがん治療に伴う副作用の緩和を目的に導入されてきたものでありましたが、カンナビノイド自体に抗がん作用がある可能性も指摘されています。
まずは、CBDなどのカンナビノイドが持つ抗がん作用について、実際に行われた研究を紹介していきます。
①THC(テトラヒドロカンナビノール)ががんの増殖を抑制する
1975年の研究[1]では、マウスに肺がん細胞を移植し、THCを経口投与したところ、肺がんの増殖を抑制する効果があったことが報告されています。
その後にも、以下のがんでカンナビノイドの抗腫瘍効果が報告されました。
- グリオーマ
- 甲状腺がん
- 悪性リンパ腫
- 皮膚がん
- 膵臓がん
- 子宮がん
- 乳がん
- 前立腺がん
- 大腸がん
最近では、なぜカンナビノイドががんの増殖を抑制するのか、その作用メカニズムに関する研究も進められており、その中で増殖抑制効果の他に、血管新生阻害作用や癌細胞の移動や接着、転移を抑制する効果も示されています。
THCについては以下の記事で詳しく解説しています。
⇒大麻の主成分であるTHCってどんな成分?THCの歴史や効果・効能を解説!
カンナビノイドが腫瘍の成長を遅らせる
2019年に報告された研究[2]では、膵臓がんに焦点をあてた研究を行った結果、カンナビノイドに腫瘍の成長を遅らせ、腫瘍の浸潤を減らし、腫瘍細胞死を誘発する効果が発見されています。
ただし、こちらの研究に関しては、製剤・投与量・作用機序などの有効性に関する研究が不足しているといわれています。
カンナビノイドについては以下の記事で詳しく解説しています。
⇒カンナビノイドとは?大麻由来の成分「カンナビノイド」の種類や効果を解説!
③CBDが細胞死を引き起こす
2019年に行われた研究[3]では、CBDが細胞死を引き起こし、膠芽腫細胞を放射線に対してより敏感にする可能性があるものの、健康な細胞には影響を及ぼさないことが示されています。
CBDに悪性な腫瘍のアポトーシス(細胞死)を誘導する作用がある可能性が報告されたことによって、CBDの抗がん作用に対して注目が集まっています。
③大麻の仕様が膀胱癌のリスクを低減する
長期間に渡って行われた調査[4]では、カリフォルニアの男性で大麻の使用が膀胱がんのリスク低減に関連している可能性が発見されています。
詳しい因果関係は確立されていませんが、がんの予防に対する可能性も示されています。
④CBDが大腸癌細胞の拡散を阻害する
2013年に報告された研究[5]では、CBDが大腸癌の拡散を阻害する可能性について示唆されています。
さらに、カンナビノイドが神経膠腫の治療において有望な化合物であることもわかっています。
⑤CBDの転移性乳がん対する有効性
2010年に行われた研究[6]では、転移性乳がんの前臨床モデルにおけるCBDの有効性が実証されています。
CBDが乳がん細胞の増殖と浸潤を大幅に減少させることがわかっており、がん治療に対するCBDの有効性が高まっています。
カンナビノイドのがん治療に関する研究課題
これだけの研究結果が報告されていますが、カンナビノイドやCBDががんの治療において効果的かどうかの結論を出すには時期尚早と言われています。
また、がん治療の代替と見なされるべき段階ではなく、将来に向けていくつかの研究課題が残されています。
- THCのような他のカンナビノイドがある場合とない場合のCBDの効果
- 安全で効果的な投与
- さまざまな投与技術の効果
- CBDが特定の種類の癌にどのように作用するか
- CBDが化学療法薬や他の癌治療とどのように相互作用するか
これらの研究が行われなければ、CBDががん治療の代替として活用されることはないでしょう。
CBDはがんの補完的治療として役に立つ
従来のがん治療は化学療法や放射線療法など、副作用によって吐き気や食欲不振、疼痛などが生じる患者への負担が大きなものでした。
CBDのがん治療に対する効果はまだ確立されていないものの、カンナビノイドには神経障害性の痛みや吐き気を緩和する作用が期待されているため、がんの補完的治療として期待されています。
現時点では、がんの治療や副作用の緩和をするためにFDAが承認したCBD製品はありませんが、合成THC薬については2つが承認されており、研究についても進められています。
CBDはがん予防に効果がある?
2010年に行われた研究[7]によると、THCを投与したマウスに免疫系を抑制できるという効果が示されました。
ただし、具体的な効果についてはまだ確立されておらず、CBDの使用頻度や投与量などの変数を管理しながら長期的な研究を行わなければなりません。
まとめ:CBDの抗がん作用は研究が続いている
CBDなどのカンナビノイドに対する抗がん作用については、さまざまな研究によって有効な結果が報告されているものの、確定的な結論には至っていないのが現状です。
がん治療の補完的役割や代替方法として、CBDが注目を集めていますが、実際に活用されるのは、まだ先の話になりそうです。
CBDががん治療に活用されれば、身体への負担を抑えながら治療を継続することもできるでしょう。
【参考】
・[1]東京銀座クリニック:CBD(カンナビジオール)の抗がん作用
・[2]NCBI:Potential Use of Cannabinoids for the Treatment of Pancreatic Cancer
・[3]NCBI:Inhibition of ATM kinase upregulates levels of cell death induced by cannabidiol and γ-irradiation in human glioblastoma cells
・[4]PubMed:Association between cannabis use and the risk of bladder cancer: results from the California Men’s Health Study
・[5]ScienceDirect:Inhibition of colon carcinogenesis by a standardized Cannabis sativa extract with high content of cannabidiol
・[6]SpringerLink:Pathways mediating the effects of cannabidiol on the reduction of breast cancer cell proliferation, invasion, and metastasis
・[7]Wiley:Cannabinoid receptor activation leads to massive mobilization of myeloid‐derived suppressor cells with potent immunosuppressive properties
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