国際麻薬統制委員会(INCB)が個人の薬物所持と使用を非犯罪化
またもや驚くべきニュースが飛び込んできました。INCBが2019年6月3日に発表した声明で、「個人使用を含む薬物犯罪は主に刑事訴訟で、治療やリハビリなどが活用されていない。」と述べました。
非犯罪化を明確に述べているわけではありません。しかし、「刑事罰を与えるのではなく、治療をすべき」と述べたことは、個人の薬物使用の非犯罪化を促していることと同じ意味です。
「国連システム事務局長調整委員会(CEB)が薬物政策に関する声明文を発表」という記事でも個人所持や使用の非犯罪化を言及していました。INCBの今回の声明は、それ以上にインパクトがあるものです。
なぜなら、INCBは全世界の薬物政策を監視する役割があるためです。今回は、INCBと今回発表した声明文について詳しく解説していきます。
そもそもINCBとは何?
INCBは、International Narcotics Control Boardの略で、日本語では国際麻薬統制委員会といいます。国際連合の機関の1つで、薬物に関する国際条約を世界中で実施することを目的とした統制機関です。
そのため、準司法性と独立性を持っています。INCBの主な役割としては、以下の通りです。
- 各国が行っている麻薬及び向精神薬の規制が国際条約に沿って施行されているか監視
- 国際条約の対象薬物の生産、流通、消費に関する監視
- 薬物の不正取引と乱用防止
INCBの歴史は古く、1925年までさかのぼります。INCBの前身となる常設中央委員会は、1925年の国際アヘン条約が制定されると同時に設置されました。
その後、様々な時代の流れを経て、1961年に制定された「麻薬に関する単一条約」によって国際麻薬統制委員会となりました。INCBの執行権限は全世界に渡り、条約に結んでいない国にも権限を行使することができます。
実施できることとしては、問題が起こった国の政府から問題に関する資料提出の要求、政府に対する是正措置の要求などを行うことができます。政府が資料提出もしくは是正措置を拒んだ場合、委員会は条約締約国や国際連合経済社会理事会及び麻薬委員会へこのことを注意喚起することができます。
また、同時に問題があった政府の情報などをすべての条約締約国に公表することも可能。国連に加盟している国に政府の情報を公開されるのですから、情報を公開される国の損失は計り知れないものがあります。
公開されることによって、諸外国との貿易の停止などの経済的損失などが起きる可能性があります。組織の構成としては、国際連合経済社会理事会で選出される13名の委員によって構成されます。
委員の構成としては、世界保健機関が指名した名簿から医学や薬学に精通した専門家3名と条約締約国が指名した名簿から選出された10名となります。
今回発表した声明文について
それでは、さっそく声明文の内容をのぞいていきましょう。声明文は、13の項目から構成されています。すべてを紹介するのは難しいので、一部を抜粋していきます。
また、意訳している部分もあるため元の文章とは異なる場合があります。
「多くの国では、個人使用を含む薬物関連の犯罪行為に対処するための政策が主に刑事訴訟である。訴追を含む収容や治療、リハビリや社会的統合は十分に活用されていない。」
→個人使用などの薬物犯罪は、日本を含む多くの国で裁判によって刑務所に収監するだけです。薬物に対する治療やリハビリなどは、十分に行われていないと述べられています。
「薬物関連の犯罪行為に対する不均衡な対応は慣習と法によるもの。国際麻薬取締条約は麻薬関連の犯罪および犯罪者の治療に対して国家による比例的な対応を要求する。」
→薬物関連の犯罪行為を刑事訴訟だけで対応するのは、今までの慣習と法律が原因です。国際麻薬取締条約は、麻薬関連の犯罪に対する対応と犯罪者の治療を同じように対応することを要求すると促しています。
「治療やリハビリなどの代替案を含む司法方針を採用する裁量が条約に基づいて規定されている個人所持や使用などの軽微な犯罪に対する対応が十分に活用されていない。重大な麻薬関連犯罪が国家によって法的罰則を設けている場合も比例的な対応として機能しなければいけない。」
→ここは非常に難しい内容ですが、個人所持や使用などの軽微な犯罪に対して有罪判決や罰などの代替案として犯罪者の治療やリハビリなどが十分に行われていないことが述べられています。また、薬物製造や売買などの重大な薬物犯罪で法的罰則を設けている場合でも、刑事罰以外の目線も持っておかなければいけないということです。
今回の声明文をまとめてみます。今回の声明文では、厳密には個人所持や使用などの軽微な薬物犯罪の「非犯罪化」と明確に言及はしているわけではありません。
しかし、薬物犯罪を法律で罰するだけでなく、治療やリハビリなどで犯罪者を更生させることも必要ということが言及されています。
つまり、「薬物問題を犯罪としてとらえるのではなく、治療が必要な健康問題として取り組んでほしい」というINCBの想いがあるのです。
まとめ
世界中の薬物動向などを監視するINCBがこのような声明を出すのは、非常に異例です。
この声明によって、世界の薬物事情がまた変わっていくことが考えられます。ハードドラッグの規制を緩める必要はありませんが、大麻など様々なメリットがある薬物に関しては非犯罪化が進んでいけばいいですね。
マリファナJP 国内最大の大麻総合メディア
大麻に関する正しい知識、正しい情報を発信し、医療用大麻、産業用大麻、嗜好用大麻等 多岐にわたり世界中の人々から必要とされている大麻を伝える、日本人のためのメディアです。マリファナJPでは大麻の関連の情報の発信をしていますが、大麻取締法を犯す事を「扇動、教唆、示唆、ほう助」する内容ではございません。日本では大麻の所持、栽培は違法ですので絶対に使用しないでください。
最新記事 by ゆう (全て見る)
- 大麻をこれから勉強したい人が読むべき本9選 - 2020-01-22
- 大麻はがんに効く!?73%のがん専門医が大麻の効果を認識しているが推奨しない理由 - 2019-07-02
- 大麻がアルツハイマーに効果的?大麻の主成分THC・CBDがアルツハイマー病の特効薬に - 2019-06-22