CBDビジネスのリスクを解説!薬機法を始めとするCBDビジネスに関わる法律を理解しよう!
健康や美容といった分野で知名度と人気を高めているCBD(カンナビジオール)。
市場の成長の波に乗ってCBDビジネスへの参入を検討している人も多いかもしれません。
しかし、CBDビジネスを始めるにあたって理解すべき法律が数多くあるため、それらを知らずにビジネスを始めると思わぬリスクを被る可能性があります。
CBDビジネスを健全に継続するためにも、薬機法を始めとするCBD関連の法律を理解しておきましょう。
そこで今回はCBDビジネスのリスクについて、関連する法律をチェックしながら解説していきます。
CBDって何?ついてはこちらの記事で解説しています。
⇒CBDとは何か?大麻の主成分であるCBDの効果・効能を徹底解説
【CBDに関わる法律】麻薬及び向精神薬取締法/大麻取締法
CBDは大麻植物から抽出される成分ではありますが、「大麻取締法」や「麻薬及び向精神薬取締法」による規制の対象ではない合法な成分です。
そのため、基本的にCBDのみで違反になることはないのですが、CBD商品の輸入や商品開発といった中で確認すべき点がいくつかあります。
では、大麻取締法と麻薬及び向精神薬取締法でチェックすべきポイントを詳しく見ていきましょう。
①THCの含有リスク
CBDは日本で合法な成分に該当しますが、同じ大麻植物から抽出されるTHC(テトラヒドロカンナビノール)については違法な成分として厳しく規制されています。
THCは麻薬及び向精神薬取締法に抵触する成分でもあるため、輸入などしたCBD商品にTHCが含有されていると規制の対象になってしまいます。
「CBDが含有された商品だから大丈夫では?」と感じるかもしれませんが、CBDの抽出過程の中で微量のTHCが混入する可能性も考えられるため、THCの含有リスクには要注意です。
CBD原料や海外のCBD商品を輸入する際には、成分分析書などをしっかりとチェックして、THCが含有されていないことを確認してください。
CBDの輸入後にTHCが発覚した場合の対処法は以下の記事で詳しく解説しています。
⇒CBDの輸入後にTHCが発覚した場合の対処法を解説!THC含有リスクを未然に防ぐには?
②CBDの抽出箇所
大麻取締法では「大麻の成熟した茎・種子及びその製品は除く」という一文が記載されています。
つまり、CBDであっても大麻の「葉」や「花冠」から抽出されたものに関しては違法になってしまうので注意してください。
日本で販売するCBD商品の場合、CBDの抽出箇所は大麻草の茎もしくは種子でなければなりません。
葉や花冠から抽出されたCBDを輸入した場合、出荷停止や回収命令が出されてビジネスに大きな損害を生んでしまいますし、ブランドの信用も下げてしまうので注意してください。
2022年に現在の部位規制が撤廃される予定です。詳しくは以下の記事で解説しています。
⇒2022年にCBDの部位規制が撤廃される?日本の法律におけるCBDの法規制を解説!
③厚生労働省が規定する手続きを遵守する
CBDビジネスを始める際は、厚生労働省が規定している手続きを遵守しなければなりません。
主な手続き書類としては以下の3点が該当します。
- CBDが成熟した大麻草の茎
- 種子から抽出されたことを示す宣誓書
- 成分分析表(THCが検出されていないことの証明)
- 製造工程証明書
CBD原料またはCBD商品を海外から輸入する場合は、生産者から上記の書類を取り寄せなければなりません。
もしこれらの手続きにリソースが割けないようであれば、輸入代理店を活用するのも有効です。
CBD製品、CBD原料の輸入方法については以下の記事で詳しく解説しています。
⇒CBD製品を輸入する際は手続きが必要!提出書類や手続きの流れを詳しく解説します!
④リスク対策で合成CBDを使用する
大麻草から抽出される天然のCBDに対して、化学的に合成された人工のCBDも存在します。
天然のCBDは大麻草から抽出される際に、THCを分離する作業を行わなければならず、混入リスク安堵もあるのですが、合成CBDであればCBDを生み出すためリスクを避けられるでしょう。
ただ、天然のCBDと比較して高価格なので、コストを意識した場合、手を出すのを躊躇してしまうかもしれません。
それでも技術の進歩によって、より低コストで合成CBDが生産される日が来るかもしれません。
【口に入れるものを販売する場合の法律】食品衛生法
CBDオイルやCBDグミ、CBDチョコなど、口に入れるCBD商品を販売する場合、食品衛生法という法律を遵守しなければなりません。
厚生労働省と消費者庁が管轄する法律で、食品や添加物などの基準や表示、検査に関するルールが定められています。
CBD商品としてポピュラーなものが多いジャンルでもあるため、必ず確認しておきましょう。
①輸入に関する手続き
海外からCBD商品(食品)を輸入する場合、「食品輸入届」と呼ばれる書類を検疫所に提出しなければなりません。
正規ルートから輸入を行うと、検疫所から輸入・販売の許可が与えられます。この届けを提出せずに輸入をすると「個人輸入」という取り扱いになるため、販売許可がおりません。
CBDビジネスを行うには正規のルートで輸入を行わないと販売することができないので注意してください。
②製造免許について
CBD食品の輸入・販売を行う場合、正規の輸入手続きとして海外の製造工場に関する「食品輸入届出書」を提出しなければなりません。
国内製造であれば管轄の保健所から営業許可を得ている施設にて製造が行えるようになっています。
このように販売を前提にしている上では、製造所についても許可の取得が求められているため、自宅で作ったオリジナルのCBD商品を販売するといったことはできません。
また、CBD食品を販売するときは、消費者庁が規定する商品表示のガイドラインを遵守したラベルを貼ってください。
【CBDの効果の表示に関する法律】薬機法
薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、医薬品や医療機器などの品質や有効性、安全性を確保することを目的に、製造・表示・販売・流通・広告についてのルールを定めた法律です。
この薬機法においてポイントに挙げられるのが「医薬品と健康食品の区別」「効果を謳う広告表示」の2点です。
では、それぞれどのような点に注意すればいいのかを詳しく見ていきましょう。
①医薬品と健康食品の区別
医薬品と健康食品は下記のように区別されています。
- 医薬品:病気の診断、治療や予防のために使用するもの。有効性や安全性が審査され承認を受けたもの。医薬品の製造、販売には厚生大臣または都道府県知事の許可が必要
- 健康食品:栄養成分を補給するもの。具体的な薬効を表示し、医薬品のような効果効能を期待させることは違反。
CBD商品は「健康食品」として販売しなければなりません。
また、海外のCBD商品の中には、日本で医薬品に該当する成分(メラトニンなど)が含まれた商品もあり、そういったCBD商品を健康食品として販売すると違反になってしまうため注意が必要です。
②効果を謳う広告表示
CBD商品は健康食品に分類されるため、具体的な効果を謳う広告やパッケージ表示を行うことはできません。
「不眠症を改善する」「不安を取り除く」といった具体的な表示をすることはできないため注意してください。
また、「薬事法ドットコム」に、薬機法違反に関わる違反表現の事例が掲載[1]されているのでチェックしておくようにしておきましょう。
法律に抵触したCBD商品のトラブル事例
国内で流通しているCBD商品の中には、検査によってTHCが検出された事例がいくつかあります。
- 株式会社こころ:CBDオイルPro900、2700
- エリクシノール株式会社:ナチュラルドロップス3000、シナミントドロップス3000、プロフェッショナル2000
エリクシノールのような比較的有名なCBDブランドであっても、こういったTHC検出のトラブルが起きています。
販売停止や自主回収といった措置を取らなければなりませんし、ブランドのイメージや信頼も著しく毀損してしまいます。
CBD商品のTHCトラブルは珍しいことではないので、CBDビジネスを始める方は特に注意してください。
まとめ:法律を理解してCBDビジネスのリスクを最小限に抑えよう!
CBDビジネスを始めるに当たって理解すべき法律やリスクについて解説していきました。
取り扱う商品に関連する法律をしっかりと把握して、トラブルが起きないようにしてみてください。
特に、THC含有リスクや薬事法における広告表示については注意が必要です。
規制内容や正しい手続きを理解して、健全にCBDビジネスが行えるようにしましょう。
【参考】
・[1]薬機法違反に関わる違反表現・広告事例集134選
・電子政府の総合窓口e-Gov-薬事法
・電子政府の総合窓口e-Gov-麻薬及び向精神薬取締法
・電子政府の総合窓口e-Gov-大麻取締法
・電子政府の総合窓口e-Gov-食品衛生法
・薬事法ドットコム:薬機法違反に関わる違反表現・広告事例集134選
・厚生労働省:大麻成分THCを含有する製品について
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