大麻のトリコーム

トリコームとは何か?なぜ大麻に存在するのか?

トリコーム(毛状突起)は大麻草に存在する最も重要な部位です。その進化によって植物を保護する数多くの機能を果たすとともに、私たちが乾燥大麻や大麻抽出物に求める効能の元にもなっています。

トリコームとは一体何者でどのような役割があり、どう利用すれば良いのでしょうか? 詳しく見てみることにしましょう。

トリコームとは何か?

大麻に含まれるトリコローム

トリコームは植物学的にはある種の微生物や藻類、植物の細胞表面から毛状、うろこ状に延びた部分を言います。

「トリコーム」の語は「毛に覆われた」という意味を持つギリシャ語「トリコウン」の派生語、「トリコーマ」に由来します。大麻を含め多くのトリコームは「腺」、つまり油脂などの天然物質を分泌する性質を持っています。

肉眼で大麻のバッズを見ると花や糖葉の外側に光る点のような透明、白色または琥珀色の斑点が見えますが、これがトリコームです。

「キーフ」と呼ばれることもあり、大麻を用いる際に様々な使われ方をします。触ると樹脂のようなねばつきがあり、その残りかすは皮膚などの表面に長い間付着します。

重要なのはトリコームがカンナビノイド類(THCCBDCBNなど)やテルペン、フラボノイドを生成、蓄積する器官だという点で、これらの物質が大麻に効能や香り、風味を与えるのです。

一般に大麻が収穫、加工、保存される過程でトリコームが良く保たれているほどその効能も強くなります。

トリコームの種類

顕微鏡や宝飾用ルーペあるいは拡大鏡で調べると、大麻のトリコームは大きく以下の3種類に分かれることがわかります。

そして性質もそれぞれ異なっています。

  1. 頭状有柄(ゆうへい)トリコーム
  2. 頭状無柄トリコーム
  3. 球根状トリコーム

一つずつ解説していきます。

頭状有柄(ゆうへい)トリコーム

頭状有柄トリコームは最もサイズが大きく重要なタイプとも言え、大麻には豊富に見られるものです。

太さは50から100マイクロメートルあり裸眼で観察可能です。この種のトリコームは私たちが「キーフ」と聞いて思い浮かべる粉末の正体でもあります。

キノコのような突起物の形をしており、植物細胞に付着する茎、そしてカンナビノイドやテルペンを生成(合成)する「腺頭」を持ちます。

雄株の頭状有柄トリコームは雌株に比べて小型で数も少なくなっています。

頭状無柄トリコーム

このトリコームは大きさも量も中位に位置しています。

頭状有柄トリコームと同じく頭部と茎を持ち、カンナビノイドを分泌します。太さは25から100マイクロメートル程度で、茎は単細胞でできていますが腺頭は8ないし16の細胞で構成されます。

球根状トリコーム

最も小さいトリコームです。植物全体の表面に存在しますが、裸眼ではほとんど確認できません。

細胞数個で構成され大きさは10から30マイクロメートル程度、分泌細胞の頭部だけを持ちます。

トリコームの役割とは?

そもそもなぜ大麻にトリコームがあるのか不思議に思われるかもしれません。実はトリコームは大麻にさまざまな恩恵を与えているのです。

トリコームは外界からの脅威に対して大麻を守る最初の防衛線となっています。開花期の大麻は各種の昆虫や動物を引き寄せます。前述の通りトリコームはカンナビノイドやテルペンを生成し、その苦味と刺激臭が害虫を防ぐ役目を果たします。

さらにトリコームが持つ微小な突起は強い風や菌類から大麻を物理的に守るバリヤーの働きをします。また有害な紫外線を遮断・反射することによって太陽からも植物を守っています。

大麻は屋外の過酷な環境で育つ丈夫な一年草としても知られますが、野生環境での生存にあたってトリコームが大きく貢献していると言えるでしょう。

大麻栽培者がトリコームの生産量を増やすには?

トリコームはカンナビノイドを多く生成するため、大麻栽培者がトリコームの育成促進に努力することは理にかなっています。

カンナビノイドの生成は大麻が成長して花をつける時期から始まります。トリコームの育成を促進する最も重要な方法は開花期、花粉が落ち始める前に雄株を雌株から引き離すことです。

受粉した雌株はエネルギーをトリコーム生成ではなく種子製造に費やしてしまい、大麻としての効能が下がることになるためです。

育てた大麻株にカンナビノイドがどれだけ凝縮されるかは、遺伝的性質と環境条件の双方に依存します。照明に広帯域紫外ライトを使うとトリコームが増加すると言われています。

栽培者はまた収穫・保存時にトリコームの損傷を防ぐことで効能を増すことができます。

そのためには繊細なトリコームの茎が壊れないよう大麻を注意深く扱い、正しい保存処理を施し、適切なスペース、温度、照明、湿度のもとで保存することです。

カンナビノイドについては以下の記事で詳しく解説しています。

トリコームを指標とした大麻収穫

トリコームは大麻の収穫時期を教える重要な指標にもなります。但し、最大の効能を得る収穫時期については諸説があります。果物の表面に触れて熟し加減を知るのと似ていますが、トリコームの色の変化を注意深く見ることによって刈り取り時期を知ることができるのです。

成熟前のトリコームは透明で結晶状に見えますが、時が経つと不透明な乳白色に変わります。株によっては暗い琥珀色や赤茶色に変わりますが、全てのトリコームがこの色になるとは限りません。

大麻栽培の専門家によると、トリコームの50%から70%が白く変わった時が収穫時期だとのことです。

収穫を遅らせればそれだけ多くのTHCがCBNに変わり、良く知られた「カウチロック」の原因となります。

CBN自体に精神作用はありませんが、効能があるため、CBN求めるのであればトリコームが琥珀色になるまで待った方が良いかもしれません。

ユーザーに強烈な体験をもたらすトリコームは大麻草の生育にも不可欠です。バッズやグラインダーの底に残ったキーフを注意深く見てみれば、その小さく光る斑点がこの上なく強力な一撃を秘めていることに感慨を持てるのではないでしょうか。

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Kohei

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