マジックマッシュルーム、LSDなどの幻覚剤が人と自然の結びつきを強める、研究結果
米コロラド州デンバーでは2019年5月7日に「マジックマッシュルーム」の非犯罪化を決議する住民投票が行われ、可決されています。
また、米カリフォルニア州オークランドも、昨年6月にマジックマッシュルームの所有および使用を非犯罪化しました。
2017年に英国の団体Global Drug Surveyが実施した調査では、マジックマッシュルームは、世界的に広く利用されている薬物の中で、最も安全性が高いとされました。
今回は、幻覚剤が、人間と自然の結びつきを強めるということについて説明していきます。
そもそも幻覚剤(サイケデリックス)とは?
幻覚剤とは、脳神経系に作用して幻覚をもたらす向精神薬のことを指します。呼称には幻覚剤の原語である中立的な「ハルシノジェン」や、より肯定的に表現した「サイケデリックス(Psychedelics)」などがあります。
その体験は、サイケデリック体験と呼ばれ、神秘的な体験が多く、神聖さ、肯定的な気分といった特徴を持つことが多くなっています。
幻覚剤は、宗教的な儀式や踊り、シャーマンや心理療法に用いられていて、宗教、文学作品や音楽、アートといった文化そのものに影響を与えてきました。
サイケデリックという言葉が誕生したのは1957年、「自我をコントロールする」という意味合いで研究者によって使われ始め、幻覚剤を服用した精神状態のことを一般的に【サイケ】と呼びます。
1960年代に神経症や心身症等の患者に対して幻覚剤のLSDを服用して、覚醒した状態で自我の防衛を緩めることでカウンセリングやセラピー治療をしていましたが、そのうちカウンターカルチャー的な意味で「サイケデリック」という言葉が流行しました。
幻覚剤に属するのは以下の4種で、作用する脳の部位はほとんど同じで作用もそれぞれ似ています。
- シロシビン(マジックマッシュルーム)
- DMT(アヤワスカ)
- メスカリン(ペヨーテ)
- LSD
MDMAはこれらとは異なる共感能力や親密感の向上作用があります。
日本でも昔は合法だった「マジックマッシュルーム」
90年代の当時の日本では、マジックマッシュルームが合法であったため、当時は、アルタ前やハチ公前などの路上にテーブルを置き、『キノコあります』という看板をブラックライトで照らしている”キノコ屋さん”がたくさん点在するほど一般的な存在でした。
ネットでは、菌床とペットボトルがセットになった『栽培セット』なるものが、1回1500円~3000円ほどで売られていました。
マジックマッシュルームが規制される決め手となったのは、俳優の伊藤英明さんが2001年に起こした騒動です。マジックマッシュルームの影響で錯乱し、コンビニへ駆け込み大騒ぎをし、救急車で搬送されたのです。
人気俳優だったということもあって、この騒動を期に『マジックマッシュルームは危険』という風潮がたちました。そして2002年6月、正式に禁止されます。
元々、中米のマヤ、アステカ文明で巫女が使用し、南米でシャーマンが使用しており、霊性を絡めたハイカルチャーとして広まったバックグラウンドがあります。
それが『ハイになれる』薬物として、人の手に渡った事から、規制の対象になったのでしょう。
しかし最近の研究では、マジックマッシュルームの有効成分であるシロシビンが、不安やうつ病、摂食障害を治療したり、昏睡状態の人の脳を活性化させることが明らかになっています。
米連邦保健当局は、現在、シロシビンやMDMAの合法化にもつながる可能性のある試験を実施しており、解離性ケタミンに由来する新たなうつ病治療薬をすでに承認しています。
マジックマッシュルーム、LSDなどの幻覚剤は、人と自然との結びつきを強める
自然の中で時間を過ごすことは、肉体的にも精神的にも良いことが研究により分かっており、現在では幻覚剤がこうした結果をより高めるという研究結果も出ています。
International Journal of Environmental Research and Public Healthに発表された新しい研究によると、幻覚剤は、人と自然の結びつきを強めることが明らかになりました。
インペリアル・カレッジ・ロンドンのサイケデリック研究センターの研究者らは、2017年の3月から11月の間にオンライン調査に回答した654人の被験者のデータを収集し、被験者に対し、選択した幻覚剤を服用する前後で、さまざまな心理学的調査を実施しています。
これらの調査では、回答者の心理的幸福感と自然のつながりの感覚を評価しました。
また、被験者は、最初の幻覚剤体験の2週間後、4週間後、2年後に追跡試験を受けました。データを統計的に分析した結果、サイケデリック体験した後は、毎回「自然との結びつきが大幅に強まった」ことがわかり、研究者はまた、「自然との結びつきの変化と心理的幸福感の変化の間に重要な関連性がある」ことも発見しました。
「人間と自然環境は、関係が断絶しているように見えますが、それは、精神衛生の悪化と生態系の破壊につながっています。これまでの研究により、幻覚剤の使用は、人と自然の結びつきを強めることを示唆していますが、幻覚剤の使用が自然との結びつきを強めることの因果関係が、完全に確立さされたわけではありません。」
と研究は説明しています。また著者らは、以下の様に指摘しました。
先行研究では、自然との結びつきが強い人は、自然との結びつきが低いと感じている人よりも、屋外で過ごすことでより良い結果を得る傾向があることがわかっています。
結論:幻覚剤が人と自然環境の関係に永続的にプラスの変化を引き起こす
研究者らは最後に、以下の様に結論付けました。
「幻覚剤使用後に見られた人と自然の結びつきの強化は、心理的幸福感の増加と相関しており、サイケデリック経験の2年後も有意に高いままでした。これらの研究結果は、幻覚剤が人と自然環境の関係に永続的にプラスの変化を引き起こす可能性を示しています。」
マリファナJP 国内最大の大麻総合メディア
大麻に関する正しい知識、正しい情報を発信し、医療用大麻、産業用大麻、嗜好用大麻等 多岐にわたり世界中の人々から必要とされている大麻を伝える、日本人のためのメディアです。マリファナJPでは大麻の関連の情報の発信をしていますが、大麻取締法を犯す事を「扇動、教唆、示唆、ほう助」する内容ではございません。日本では大麻の所持、栽培は違法ですので絶対に使用しないでください。
Kohei
最新記事 by Kohei (全て見る)
- 大麻はゲートウェイドラッグなのか?ゲートウェイドラッグ理論に対する主張を調査! - 2023-04-19
- 【大麻とお酒の関係性】大麻とアルコールを一緒に摂取すると何が起こるのか? - 2023-04-14
- CBD入門ガイド:効果を最大限に活用するための基本情報と始め方 - 2023-04-13