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運転中に大麻を吸う男性の手

【大麻と運転】大麻は、車の運転にどのような影響を及ぼすのか?

大麻合法化に反対する議論の1つに、「人々が大麻を吸った状態で運転することへの懸念」が挙げられます。

近年、医療用大麻、さらには嗜好用大麻の合法化を選択する国や都市が増え、大麻と運転に関する議論が盛んに行われています。

トラック運転手から生活に車を使用している一般の人々に至るまで、大麻の影響下で運転することへの危険性の疑問が絶えません。

また、現在行われている大麻検査が、公正で正確な結果をもたらすかどうかについても、多くの議論がなされています。今回は、大麻が、車の運転にどのような影響を及ぼすのかについて解説していきます。

大麻については以下の記事で詳しくまとめています。

大麻とは?成分や植物としての「特徴」「効果」「法律」についてのまとめ

大麻が運転に与える影響

大麻には、さまざまなカンナビノイドが含まれていますが、これらは、大麻の効果を発揮する有効成分です。

多くの大麻に含まれるカンナビノイドの中で最も知られているのが、テトラヒドロカンナビノール (THC) で、向精神作用がある化合物です。

THCについては以下の記事で詳しく解説しています。

大麻の主成分であるTHCってどんな成分?THCの歴史や効果・効能を解説!

一般的なTHCの作用

・リラックス
・多幸感
・時間の感覚がゆっくりになる
・食欲増進
・めまい

THCには、上記のような向精神作用があるため、医療専門家や法執行機関は、大麻を多量に摂取している間に運転する人がいるのではないかと懸念しています。

国立薬物乱用研究所[1]は、「大麻は判断力、運動協調性、反応時間を著しく損なう。」と警告しており、また、THCを摂取した運転手が自動車事故を起こす可能性が通常時と比べ、二倍高いことを示す統計にも言及しています。

しかし、いくつかの研究は、大麻使用後の運転能力への影響と、自動車事故後に行われる血液検査の有効性を疑問視しています。American Journal on Addictionsに掲載された2009年の研究[2]には、大麻の喫煙への影響に関する多くの情報が掲載されています。

「R.Andrew Sewell医師」「James Poling博士」「Mehmet Sofuoglu医師」の三人が行った上記の研究では、運転能力に対する大麻とアルコールの影響が調査されました。

この研究によると、大麻を大量に摂取している間に運転すると、意思決定にかかる時間が長くなり、緊急時に誤った対応をすることが多くなることが分かりました。

これには、他の車両を追い越す間にかかる時間の増加、信号が変化したときに車両を制動するまでにかかる時間の増加、速度メーターを見る能力の低下が含まれます。

大麻が運転に及ぼす影響には、意思決定に要する時間の増加や、緊急事態における誤った対応の数の増加などが挙げられています。

大麻を摂取して運転する人は、自分がハイであることをよく意識して運転している

「R.Andrew Sewell医師」「James Poling博士」「Mehmet Sofuoglu医師」らによると、大麻を摂取してハイの状態の人は、一般的に自分がハイであることをよく認識しているそうです。

その結果、彼らはハイの状態を補うために安全運転するようになります。研究者らは、大麻でハイの状態の参加者が指定したスピードを維持するように指示された場合でも、そのスピードよりもかなり遅く運転する傾向があることを発見しました

また、大麻でハイになっている運転手は、車間距離を十分に保つ傾向を示しました。大麻の使用者は、自分がハイになっていることを認識していると同様に、研究に参加する際に、自分が研究者らに評価されていることにも気づいています。このことから科学者たちは、以下の様ににべています。

大麻でハイの状態での運転能力への影響示す良い研究ではありますが、観察していない間にハイの状態で運転している場合、必ずしも彼らがこのように行動するかを示すものではないと考えています。

大麻の運転への影響を判断するには、消費頻度や消費方法によって異なる

ジョイントを巻いている女の子

また研究によって、運転に対する大麻の正確な影響を判断するには、人や、大麻の消費方法によって大きく異なることが明らかになっています。

変動を引き起こす要因には、次のものがあります。

①大麻の消費頻度

大麻の使用頻度が低い人は、大麻を吸って車を運転した場合、運転に支障が出る可能性が高くなります。また、大麻とアルコールの両方を摂取すると、大麻の使用頻度が低い人は、運転に支障が出るレベルが大幅に上昇します。

大麻を単独で使用すると、運転手は、ハンドル操作などの基本的な作業により多くの注意を払うようになり、速度や全体的な運転技術にはあまり注意を払わなくなります。一方、大麻の使用頻度が高い人は、大麻の摂取による影響も、大麻とアルコールの併用による影響も少なくなります。

実際、大麻を頻繁に使用する人は、たまに大麻を使用する人と比較すると、大麻とアルコールを併用した場合もアルコールを単独で摂取した場合でも運転の支障となる要因が少ない結果となりました。

②大麻の摂取方法及び用量

研究によると、低濃度のTHCは事故の発生率を増加しないが、高濃度のTHCは、事故の発生率を増加させることが明らかになっています。

大麻を原料とする製品(オイル、エディブル、濃縮物など)や大麻の系統によってTHC含有量が異なるため、摂取したものと量によって異なります。消費方法も非常に重要となってきます。

また、研究者らは、喫煙による大麻の摂取はハイになるまでの時間が短く、血中THC濃度が急速に上昇し、その後急速に低下していく一方で、大麻エディブルは、効果が表れるまでの時間が長く予測しにくいことを発見しました。

大麻エディブルの効果は30-90分の間に現れ、一般的に2-3時間以内にピークに達します。大麻エディブルは、4時間〜12時間にわたってハイの状態が続く可能性があり、大麻を大量に摂取しないように事前に計画することが難しくなります。

また、大麻を気化させて摂取した場合、同じ量の大麻を同じ割合で吸っている場合よりも血中THC濃度が高くなるという研究結果[3]もあります。

③年齢層

大麻と運転に関する2018年の報告書[4]によると、若者は大麻を使用する可能性が最も高いグループであり、また交通事故に巻き込まれる可能性も最も高いグループでもあります。

さらに研究者たちは、大麻でハイの状態で危険運転となるいくつかの要因は、主に大麻を頻繁に使用している層、つまりハイの状態でなくても危険を冒す行動をとる傾向のある若い男性たちによるものではないかと考えています。

いくつかの研究では、参加者が危険運転行動(スピードを出しすぎたり、あおり運転)を止めると、大麻の使用と事故の関連性は、なくなることが示唆されています。

大麻でハイの状態の運転vs飲酒運転

A high angle closeup shot of a marijuana blunt and a glass of cognac on a table on blurred background

「R.Andrew Sewell医師」「James Poling博士」「Mehmet Sofuoglu医師」らは、運転手が大麻を多量に摂取したときの影響は、アルコールの場合と正反対になることを発見しました。

大麻を使用してハイの状態での影響はスピードが遅くなる傾向にありますが、アルコールで酔っ払ったドライバーは、研究者が指定した速度よりも速い速度を出す傾向にあります。

アルコールは、リスクをとりやすくなるなどの意思決定にも影響を及ぼします。例えば、飲酒運転は、前方の車を追い越そうとする傾向が強くなっています。飲酒運転とは異なり、大麻でハイの状態の人は、車間距離を空け、前の車の後ろを運転することを意識し、頻繁に追い越そうとしませんでした。

また、大麻とアルコールを併用すると、大麻単体で摂取するよりも運転への影響が出ます。個々の過失調査の結果は、大麻を使用しても衝突事故の発生率が高くならないことを示す調査結果もあれば、衝突事故の発生率が高くなると示す調査結果もありました。

さらにアルコールと大麻を併用した運転者は、大麻のみを使用した運転者よりも悪い結果になることも分かりました。

まとめると、ハイの状態で運転するとスピードが遅くなり、危険を冒すことが少なくなる傾向がありますが、飲酒運転は、スピードを出し、不必要な危険を冒す傾向があります。

THC検査に関する議論

大麻の「投薬量」「摂取方法」「消費頻度」「行動代償」などに加えて、THC検査の正確性についても大きな議論があります。コロラド州では、大麻使用による運転制限は血液1ミリリットルあたり5ナノグラムのTHCです。

しかし、検査のために当局が血液を入手する時間制限はありません。(血中アルコール濃度については、サンプルを採取するのに2時間の制限があります)血流中のTHC濃度は、数時間で代謝されて大きく低下するため、正確な測定値を得ることが難しくなっています。

この種の血液検査は、大麻を頻繁に消費する人にとっても問題となっています。大麻でハイの状態の運転手の検査に関するNPRの記事[5]に詳しく書かれているように、THCは、脂肪に蓄えられ、ゆっくりと放出されて、摂取後、30日間も血液中に存在します。

ある研究によると、大麻を頻繁に使用する人の血液は、数日間大麻を使用していなくても、5ナノグラムを大きく超えたTHCが検出されることが分かっています。血液検査は、法執行機関の法的基準となっていますが、一部の企業は、THC検知器の開発を通じて、より正確な検査器を開発したいと考えています。

Hound labsもその1つです。THCは、大麻でハイの状態のピーク時にのみ呼吸に存在するため、血液検査よりも正確だと主張しています。Hound Labsの呼吸分析装置は、過去2時間以内に大麻を吸った人がいるかどうかを測定し、THCの呼気分子の数を1兆分の1で表示できると報じられています。

Hound Labsの装置は、タイムリーにハイであるかを測定できます。THCは肺を介して血流を離れるので、呼吸によって測定ができます。一部の企業がTHC検知器を開発していますが、血液検査は、依然として、ハイな状態で運転しているかどうかを証明する基準となっています。

日常的に車を使用する人と大麻の関係性

大麻の合法化により、日常的に車を使用する運転手(トラック運転手、配達員、タクシー運転手)や、レーシングドライバーに関する議論が活発になっています。

商用ドライバー

カナダのような、国による運転禁止法が存在しない地域では、運転手に対する連邦規制も存在しません。カナダでこのような法律は、各州に任されています。

例えばカナダのオンタリオ州では、自動車を運転しているすべてのドライバーを対象とした「ゼロ・トレランス政策」があります。多くのカナダ企業では、従業員が勤務に適した状態で出社し、運転中はその状態を維持することを求めています。

2013年、カナダの最高裁判所は、無作為の薬物検査は、従業員のプライバシーと尊厳を傷つけるものとみなし、雇用者は正当な理由がない限り検査を控えなければなりません。としました。米国では、運転手は、一連の法律と雇用主が義務付けた規則に従わなければなりません。

また大麻は、依然として米連邦政府によって違法であると見なされているため、連邦政府からの薬物検査を義務付けられている運転手は、勤務時間外であっても、嗜好用大麻および医療用大麻の使用を控える必要があります。

NASCARドライバー

NASCARNational Association for Stock Car Auto Racing, 全米自動車競争協会)は、米国最大のモータースポーツ統括団体です。NASCARは、2009年運転手に対しランダム薬物検査を開始[6]しました。それ以前には、禁止薬物の影響を受けていると疑われる場合にのみ薬物検査を実施していました。

NASCARが定める禁止薬物リストに大麻が含まれており、運転手が検査で陽性と判定された場合、運転ができなくなることを意味します。この検査には、医療用大麻も含まれています。

これを受けて、NASCARは、禁止物質リストから大麻を削除するよう求められています。支持者たちは、なぜ合法的な場所で大麻を消費できないのかと疑問をぶつけています。

それでも、同団体は、大麻の全面禁止を維持し、運転手が大麻関連のスポンサーになることを一切認めていません。2018年夏、NASCARは薬物検査の不合格を理由にスペンサー・ギャラガーを停職処分にしました。

その1年前、NASCARは、運転手のカール・ロング氏に、カンサスでのレース前に、コロラド州に拠点を置く大麻会社、ビーダックスからスポンサー契約のステッカーを車のボンネットから取り除くよう強制しました。

大麻が運転に与える影響Q&A

運転中にアルコールを飲むことの危険性は、多くの人が知っていますが、大麻を使用してハイな状態で運転することの危険性について、人々を教育する取り組みはまだ始まったばかりです。

医療用大麻および嗜好用大麻が、多くの場所で合法化されたことで、大麻と運転に関する適切な判断の仕方について混乱が生じています。最後に、大麻が運転に及ぼす影響についてよくある質問のいくつかを取り上げます。

大麻を使用すると運転に影響が出ますか?

大麻を使用しての運転への影響はさまざまですが、一般的に大麻は、緊急時の判断にかかる時間だけでなく、反応時間も損ないます。ハイの状態で運転している人は、速度計を見たり、車線の位置を一定に保つことが難しくなる場合があります。

大麻を吸ってからどれくらいで運転できますか?

大麻エディブルを食べたり、大麻を吸ったりして車を運転しようとする人は、大麻が運転に及ぼす影響があることをしっかり理解しなければなりません。

大麻の喫煙による影響は即効性があり、早く消えますが、大麻エディブルは、ハイになるのに時間がかかり、持続時間も喫煙での摂取と比べ非常に長く持続します。

嗜好用大麻が合法な地域でもハイな状態での運転は違法ですか?

はい。嗜好用大麻が合法な場所でも、大麻を使用しての運転は、違法となっています。視覚的な検査や状況証拠(車中の大麻、ジョイントなど)、血液検査、また一部の地域ではTHC検査によって、ハイの状態での運転とみなされることがあります。

まとめ

運転中にハイになることは良くないことだというのは誰もが認めていますが、大麻の消費頻度や消費方法などの異なる要因があるため、体内に危険なレベルのTHCが含まれているかどうかを判断するのが難しい場合もあります。

血液検査などの検査方法では、運転していない時に大麻を摂取した場合でも、陽性になってしまう可能性もあり、今後の課題となっています。

大麻に関する法律が変わるにつれ、大麻と運転に関する規則も変わる可能性が高くなります。これには、大麻の影響下で実際に運転しているかどうかを判断するためのアルコール検知器のような技術や、トラック運転手など、生活のために運転する人々に対する大麻の使用禁止の解除が必要となってくるでしょう。

【参考】
・[1]NIH:Marijuana Research Report Does marijuana use affect driving?
・[2]Taylor&France Online:The Effect of Cannabis Compared with Alcohol on Driving
・[3]JAMA Network:Acute Effects of Smoked and Vaporized Cannabis in Healthy Adults Who Infrequently Use CannabisA Crossover Trial
・[4]Eurppean monitoring center for drugs and drug addiction:cannabis and driving
・[5]npr:Scientists Still Seek A Reliable DUI Test For Marijuana
・[6]espm:NASCAR’s substance abuse policy: What’s banned?

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Kohei

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