複数のカンナビノイドが相乗的に働く「アントラージュ効果」について知ろう
食べ物や、植物、化学物質など、多くのものは、組み合わせによって効果や味わい、効き目が変わるものが多く存在します。
例えば、風邪薬とお酒を一緒に飲むと酔いやすくなる、お刺身と一緒に紫蘇や菊の花を食べるとお刺身の臭みや毒素を消してくれる、筋トレ後にタンパク質だけを摂取するより炭水化物と一緒に摂取したほうが効果が高いなど、組み合わせることによって効果的になるものは上げていけばキリがありません。
また、お酒が好きな方であれば、日本酒はあとから酔いが来るとか、テキーラは一気に酔ってテンションがあがるなど、同じアルコールであっても酔い方が違うということを感じたことがあるかもしれません。
それは、大麻においても同じことですよね。
大麻を吸ったことがある人であれば、品種や銘柄によって味わいや、効き目、陶酔感に違いがあることは体感でわかると思います。
ストーンしたり、ハイになって踊り続けたくなったり、ブランド買いをしていない場合、吸ってみてどんな感じのネタなのか判断している方もいるのではないでしょうか。
サディバ、インディカ、ハイブリッドなど色々ありますが、結局THCなのに何が違うのかなと考えたことがある方もいるかも知れません。
大麻の種類については以下の記事で詳しく解説しています。
⇛大麻ってどんな種類があるの?【サティバ、インディカ、ハイブリット、ルデラリス】
この同じTHCでも効き方が違うということを説明する鍵が、アントラージュ効果なんです!
今回はアントラージュ効果について詳しく解説していきます。
アントラージュ効果とは
アントラージュ効果は、1900年代から考えられ始めていましたが、2010年にイーサン・ルッソ博士によって正式に名称されました。比較的新しい研究分野といえます。
世界的な大麻合法化の流れや医療利用が進むことで近年どんどん研究が進んでいる分野の一つです。
アントラージュ効果を一言で言えば、
「複数のカンナビノイドと植物成分の組み合わせによって効き目、効能を高めること」
です。
まず、カンナビノイドとは、大麻草に含まれている成分の総称のことです。
またカンナビノイドは以下のように分類されており合計104種もの膨大な種類があります。
- Δ9-THCタイプ(18種類)
- Δ8-THCタイプ(2種類)
- CBDタイプ(8種類)
- CBNタイプ(10種類)
- CBCタイプ(8種類)
- CBGタイプ(17種類)
- CBTタイプ(9種類)
- CBEタイプ(5種類)
- CBLタイプ(3種類)
- CBNDタイプ(2種類)
- 未分類なもの(22種類)
カンナビノイドについては以下の記事で詳しく解説しています。
⇒カンナビノイドとは?大麻由来の成分「カンナビノイド」の種類や効果を解説!
なかでもTHC、CBDはよく聞きますよね。日本ではTHCが大麻取締法により違法とされています。なので日本で合法的に販売されている大麻商品にはTHCが含まれていません。
また、最近だとCBD以外でもCBNやCBGなどの成分にフューチャーした商品も増えています。
そして、これらのカンナビノイド成分だけでなく、そこに植物成分のテルペン、フラボノイド、フェノールなどの成分が含まれ合計500種類以上の成分からできているのが大麻草です。
これらの成分の組み合わせによって、大麻草独特の効き目や味わいが出来上がっています。
そのため、この組み合わせが変わることによって味わいや効き目にも違いが生まれます。
CBD界隈では、よくアイソレート商品(CBDのみを純粋に抽出した商品)より、ブロードスペクトラム・フルスペクトラム(大麻草の成分をそのまま抽出舌商品)のほうが良いなんて言われますが、それは、このアントラージュ効果によるものです。
すごい雑な言い方をしてしまえば、アントラージュ効果の細かい組み合わせについては詳細にはわからないから大麻そのまま抽出して摂取するのが一番効く!という考え方がフルスペクトラムやブロードスペクトラムの商品です。
大麻草は自然の神秘みたいな事をよく言いますが、まさにそういった感じです!
CBDアイソレート・ブロードスペクトラム・フルスペクトラムについては以下の記事で詳しく解説しています。
⇛フルスペクトラムCBDとは何?他のCBD製品とどう違うのか?
また、こういった極端な全部や1つではなく、計算されたテルペン配合などの成分を選んで抽出している商品もありますよね。例えば、CBDFX等の商品は、大麻由来のCBD成分に、テルペンを追加で配合しています。
商品説明にも、
”産業用ヘンプの茎から抽出されたCBD(カンナビジオール)に天然の植物が持つ香りの成分「テルペン」を加えCBDの働きをより一層高め味わい豊かで高い満足感を可能にしました。”
(参照:https://item.rakuten.co.jp/xxx-tokyo/10000012/)
と記載されています。このCBDをの働きをより一層高める効果がアントラージュ効果です。
これらは、しっかり研究されている範囲で効能を高める組み合わせ、味わいのよくなるものを選んで抽出しているということになります。それでもやはりアイソレート商品よりは効きがよく、アントラージュ効果を実感できると思います。
アントラージュ効果というと難しく聞こえるかもしれませんが、大麻草の成分たちみんながチームで、「One For ALL,ALL For One」(一人はみんなのために、みんなは一人のため)にみたいな考えで働いているというイメージが簡単かもしれません。
要は、一つの成分だけでなく多くの成分が集まると効果高まるよってことです。
アントラージュ効果で大きな働きをしているテルペンについて
さて、ちょっと話がそれましたが、次にアントラージュ効果で大きな働きをしているテルペンについても記載していきます。
テルペンは、植物に含まれる色や香りのもととなる成分であり、揮発性が高く、香り高いという特徴があります。
テルペンは、植物が生きていく上で非常に重要な成分です。
例えば、テルペンが放つ香りによって、その植物にとっての益虫をそばに呼び寄せたり、逆にその植物にとっての害虫が近づかないようにしたり、植物にとって重要な働きを持っています。
そんなテルペンですが、カンナビノドと一緒に摂取するとカンナビノイドの働きをアシストすることが研究[1]で明らかになっています。
THC濃度100%の大麻よりもTHC濃度50%のテルペン等が含まれている乾燥樹脂のほうが効きが強力だったと言う研究結果も出ています。また、テルペンには、THCの不安感を引き起こす効果を和らげてくれる効果も研究によって発見されています。
大麻草には、200種類以上のテルペン成分が含まれています。そして、大麻の品種によって含有されるテルペンの種類も大きく違います。これが、品種ごとそれぞれの効きの違いや香りの違いを生み出す理由です。
また、テルペン単品でも、身体に良いものと言われています。アロマテラピーなどの効能には、テルペンが大きな働きをしています。
医療大麻の分野でも、カンナビノイドの働きとテルペンの働き、2つの治療効果を利用して治療に生かしています。
そして、このテルペンの効果もカンナビノイドと合わさることによって、より高い治療効果をもたらします。なので、ただTHCやCBD濃度の高い製品を使えば、より高い治療効果を得られるということではありません。
品種ごとに含まれるテルペンの種類や内容は違うため、自分にあった品種を選ぶことが重要です。
テルペンについては以下の記事で詳しく解説しています。
⇛CBDに書いてある『テルペン』って何?大麻に含まれているテルペンを理解しよう
まとめ
今回は、アントラージュ効果について紹介しました。アントラージュ効果というとなんとなく専門的で難しい響きかもしれませんが、要は、大麻草には色々な成分が含まれていて、それぞれが相乗効果的に働くことでより効能が高まるということです。
現在、絶賛研究中の分野なので、将来的にもっと研究が進めば、個々のニーズに合わせて効能を計算し、THCやCBD、その他のカンナビノイド、テルペンなどをブレンドする商品も出てくるかもしれません。
ただ、少なくとも現在は自然のままの大麻をそのまま利用するのが一番効能が高いです。
個人的には、これだけ科学が進歩してもそのままの大麻が一番というところに自然の神秘、大麻草の偉大さを感じます。
今後のアントラージュ効果、大麻草の研究には、要注目ですね!
【参考】
・日本臨床カンナビノイド学会
・PROJECT CBD WHAT ARE TERPENES?[1]
・TERPENES & THE “ENTOURAGE EFFECT”
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Kohei
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