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日本人だけが知らない、マリファナ産業という緑色の鉱脈でおこる”地殻変動”

 

シリコンバレーで最も重要なベンチャーキャピタリストとして知られる、ピーター・ティールは、人々にこう問いかける。

ティールが、90年代にペイパルを創業者し、ドットコムバブルの崩壊した直後、まだ創業間もないフェイスブックに出資を即断し同社を世界的大企業に育て上げた事は周知の事だが、思想家としても知られる彼の影響力は、シリコンバレーに留まらない。

2016年の大統領選では、シリコンバレーで唯一トランプ支持を公言し、仮想通貨が世間をにぎわせるよりはるか前から、リバタリアニズムの観点から、仮想通貨の社会的意義を説いてきた。

昨年、カナダが先進国ではじめて、全国レベルで嗜好用大麻を合法化した事は、世界的ニュースとなったが、反逆の起業家・ピーター・ティールが、2014年に大麻産業に投資した最初のビリオネアである事は、日本ではあまり知られていない。

日本が、周回遅れの議論をしている間に、世界では、この21世紀の”緑色の鉱脈”をめぐって、巨大な産業が形成されつつある。シリコンバレーの首領すらも参入した大麻産業で、人々はどのような地殻変動を目撃するのだろうか。

ピーターティール
From wikipedia

先進国で加速する大麻の合法化

現在、日本において、大麻は大麻取締法で規制されており、大麻に含まれるTHCに幻覚作用があり、神経系への影響がある事から、医療用大麻、嗜好用大麻は、全面禁止されている。一方で、古来より、神社のしめ縄や祭事に麻が使われていた事もあり、産業用大麻は、許認可制が導入されており、現在、全国で約30人の大麻栽培業者が、産業用大麻の製造に従事している。

昨年、カナダでは全国レベルで、嗜好用大麻を解禁した頃が話題となったが、現在、アメリカでも10の州で嗜好用大麻が解禁されており、医療用大麻に関しては20以上の州で合法化されている。THCの持つ神経系への影響が指摘されているのにも関わらず、先進国の間で嗜好用大麻の合法化の推進力となっているのは、やはり、大麻の持つ経済的インパクトだ。

急拡大するマリファナ産業

「子供がマリファナをいとも簡単に入手でき、それが犯罪集団の収益源となっていた。今日我々はマリファナを合法化する法案を可決した。」

                カナダ首相ドルトー

大麻
From huffingtonpost

 

規制したところで、流通は止められないし、マフィアの収益源となっているのだったら合法化してクリーンな産業にした方がよい。医学的な議論を差し置いて、そうした経済的合理性に基づくマリファナ肯定論者の主張は、先進国で合法化を推し進める上での強力な推進力だった。

実際に、嗜好用大麻を合法化した州は、軒並み大幅な税収の増加を計上している。ネバタ州は、2017年、マリファナ関連の産業により約450億円の増収を発表しており、Green Wave Advisorによると、2018年カリフォルニア州におけるマリファナ関連の税収は1000億円を超えるという。

ティールの出資したプライバティアはマリファナ銘柄にのみ投資する目的で7年前に設立された。同ファンドは大麻を用いた医薬品の開発を手掛けるティルレイに出資しているが、昨年9月ティルレイの株価は高騰し、一時は同社の時価総額1兆7000億円を超え一種のセンセーションとなった。

シリコンバレーの首領のお墨付きを得たマリファナ産業を、他のVC達が無視できるはずもなく、真剣に検討するようになる。2018年にはマリファナ関連企業のM&Aの数は300を超えたと言われており、Pitchbookによると、マリファナ業界への投資額は総額で900億円にのぼるという。

実際、大麻業界では、時価総額1000億円をこえる企業が次々と生まれている。医療用大麻の製造と大麻栽培を手掛けるCureleafは、現在11の州に展開しており2019年1月9日時点での時価総額は2800億円に上る。その他にもGreen Thumb Industries、MedMen、Acreage Holdingsなど、企業と時価総額1000億円を超え、ユニコーンとなったマリファナ関連企業は枚挙にいとまがない。どの企業も創業数年な事を考えると、とんでもない速度で、巨大な産業が形成されている事が分かる。

Forbesによれば、現在の世界の合法大麻市場の規模はおよそ約8,400億円と推定しており。2021年には、その市場規模は約3.4兆円にまで成長すると予測している。すでに世界は、この緑色の鉱脈で、21世紀のゴールドラッシュを繰り広げているのだ。

ドル札

バブル相場を指摘する声も

 

一方で、ジャーナリストのマイク・アダムスは「この相場は完全にバカけている。Googleでマリファナと検索して出てくるのは、マリファナ銘柄への投資は経済的自由を得るためのマジックキーだと、投資を煽る広告ばかりだ。」と浮ついたマーケットに警鐘を鳴らしている。他にも、仮想通貨のバブルのようだと、マーケットの熱気を諫める冷静な声もある。

少なくとも、最近見かけるようになった「日本でも買える大麻関連銘柄」といった広告は、完全に恣意的だと言えるだろう。

 

大企業の参入

投資対象としての大麻産業の是非は、結局は投資家の判断となるが、この緑色の鉱脈を目前にして大企業も手をこまねいているわけではない。昨年9月、コカ・コーラ社はブルームバーグへのインタビューにて「清涼飲料水業界の他社と同様に、我々は大麻成分CBD(カンナビジオール)を、機能性健康飲料の材料としての成長に注目している」として、カナダの大麻メーカー・オーロラ・カンナビス社と飲料開発について協議している事を明らかにした。

(※CBDは大麻成分の一種で、向精神作用がなく、日本でも合法だ。)

 

また、世界最大のたばこメーカ―・フィリップ・モリスは、イスラエルの大麻関連のスタートアップで、その患者に合わせて大麻の投与量をコントロールできる吸引機などを製造するサイキ・メディカルに2000万ドルを投資している。既存の大企業が、この新興産業の中で、どのようなポジションをとり、既存の産業とのシナジーを生み出していくのかは、今後もマーケットから注目を集めるだろう。

 

大麻産業における中国とイスラエル

中国国旗

大麻の解禁が加速する欧米だが、もちろんプレイヤーは欧米だけではない。あまり知られていないが、現在、産業用大麻の生産量で世界最大なのは中国だ。中でも黒龍江省の栽培面積は2017年、28,000haに達し、国内で最大の生産量を誇る。

もともと雇用創出のために産業用大麻の栽培を支援してきた中国政府だが、近年は、紡績産業、化粧品、医薬品原料などの、様々な分野への展開が拡大していく業界を見越してか、数年置きに大麻関連の法律を改正する事で、多方面からの民間企業の導入を促している。

国の成り立ちから見ても、嗜好用大麻が中国国内で合法化される事は永遠にないだろうが、

北京産業大麻研究会や、軍用漢麻材料研究センターなどを通じた、官民一体による研究を行っている事からも、今後、単なる供給地としてではなく、大麻産業全体をリードする意思がある事は明らかだ。

 

イスラエル国旗

世界で初めて医療用大麻を合法化したのは、実は、イスラエルだ。同国のヘブライ大学では、1963年から大麻の研究が行われており、大麻に含まれる、THC(いわゆるハイになる成分)とCBDを世界で初めて抽出したのもヘブライ大学の功績だ。

前述した、サイキ・メディカ以外にも数々の大麻関連の企業がイスラエルで生まれている。

スタートアップ大国で知られるイスラエルだが、2018年には15以上の米国のマリファナ関連のスタートアップが研究開発機関をイスラエルにおいている事からも、そのプレゼンスの高さが伺える。医療大麻のみならず、大麻関連の技術開発に関しても、イスラエルは今後、業界をリードする事だろう。

 

大麻産業における日本のプレゼンス

さて、日々成長している大麻産業だが、日本はこの新たな産業で完全に取り残されている。

とは言え、「バスに乗り遅れるな」と、嗜好用大麻を合法化するのはあまりにも軽薄であるし、大麻の身体への影響に関する、長期的なエビデンスに関しても、まだ十分にあるとは言えない。

 

ただ、各国はこの巨大な鉱脈を前に、真剣に自国のポジションを探っている。中国のよう国内では厳密に嗜好用大麻を取締まる一方で、研究開発と、輸出に注力する、という”したたかな”戦略もあれば、イスラエルのように、医療用大麻に関する研究開発とスタートアップを、国を挙げて支援する方法もある。

「大麻が体に良いのか、悪いのか」日本で、そんな周回遅れの議論に時間を費やすよりも、この成長産業をどう”利用”して、どのようなニッチを見つけるか、といった議論の方がよほど建設的だろう。

危険を冒して先陣を切って坑道に突っ込むのか、欧米を”坑道のカナリア”として利用するのか、あるいは、自身はツルハシとジーンズを売る事に徹するのか。それすらも定まっていない、日本を横目に、海外の事業者は、日本の大麻取扱者免許とそれを取り巻く利権を虎視眈々と狙っている。

 

次回:マリファナ産業と地政学「日本の大麻利権が外資に掌握される日」

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K

マリファナJP代表のKです。 日本経済に新しいマーケットを誕生させると共に、日本人に大麻の素晴らしさを伝え、1人でも多くの日本人に大麻に対する正しい理解をしてもらえる様に現在活動しております。

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