ヘンプとは?違法になった歴史から効果まで徹底解説
ヘンプ(麻)は人間に知られている最も古い栽培植物の1つです。数千年もの間、ヘンプは紙や織物、ロープに使われてきました。
コロンビアの世界史によれば、人間産業の最古の遺物は、紀元前8,000年頃にさかのぼる麻織物の切れ端です。
本記事ではヘンプとは何か、ヘンプ歴史、効果について解説していきます。
ヘンプとは?
大麻植物には多くの異なる種類が存在します。
産業用大麻と呼ばれることもあるヘンプはTHC0.3%未満でハイにさせる効果のない大麻を指します。
ヘンプとマリファナはどちらも同じ大麻種に由来しますが、遺伝的に異なり、使用法や化学的構成、栽培方法によりさらに分けられます。
またヘンプには世界に約100種類程あります。以下がヘンプの一部となります。
- アサ
- カラムシ
- リネン
- ジュート
- ケナフ
- マニラ麻
- サイザル麻
全てのヘンプは、性質や用途がそれぞれ異なります。明治時代に入ってから、リネンや、マニラ麻の輸入がされてきましたが、日本人にはアサ(ヘンプ)といえば大麻の想像をすると思います。
約1万2千年前に中央アジアで栽培化されたと言われるヘンプが日本にいつ入ってきたかは定かではありませんが、福井県の鳥浜貝塚では、約1万から15000年前の地層からヘンプで作られた縄が見つかっており、千葉県の沖ノ島遺跡では約1万年ほど前の地層からヘンプの実が出土しています。
おそらく当時は実を絞った油を接着剤や食用にしていたのではないかと考えているようです。他にも、繊維や魚を取る網や釣り糸などに加工されていたのではないかと考えているようです。
その後も灯りを取る油などに用途は広がり、庶民の普段着や仕事着はアサ、よそ行きの高級織物はカラムシと仕分けがされたようです。70年代にはアサ泥棒の被害が多く、そこで1983年に開発されたのが、『とちぎしろ』というTHC含有量が0.2%と低い、ヨーロッパの産業用大麻の基準である0.3%未満に合致する大麻が開発されました。
とちぎしろにより、アサ泥棒はなくなったものの、年々アサ栽培の面積は減り、現在では全国合わせても約6ヘクタールになっています。そのほとんどが栃木県西部に集中しています。
どんなに化学繊維が普及したとしても、神社の鈴緒や神官の狩衣、大相撲の横綱などにはやはり、国産のアサが必要で、需要がなくなることはないでしょう。栃木の伝統的な農作物であるアサ作りの文化を多くの人に伝えたいと篠崎さんは語りました。
大麻とヘンプの違いについては以下の記事で解説しています。
⇒「大麻」と「麻(ヘンプ)」の違いを解説!成分・用途・法律の違いをチェック!
ヘンプで出来ることと出来ないこと
ヘンプで出来ること
ヘンプは数千もの製品に使用可能な原材料の再生可能資源であり、ヘンプの種子と花は健康食品やオーガニックボディケア製品、その他の栄養補助食品に使用されています。
また、繊維と茎は麻の衣類や建設資材、紙、バイオ燃料、プラスチック複合材などに使用されています。
2014年時点で、ヘンプ産業協会(HIA)は、米国で販売された全てのヘンプ製品の小売価格の合計を6億2,000万ドルと推定しました。
ヘンプは農民にとって魅力的な作物です。
ヘンプが成長するにつれて、ヘンプはCO2を吸い込み、土壌を無害化し、土壌浸食を防止します。収穫後に残ったヘンプは土壌に分解され、貴重な栄養素となります。
ヘンプが成長するのに必要な水が少なく、農薬も不要なため、従来の作物と比較し、環境に優しいです。
ヘンプで出来ないこと
様々な製品に使用可能な原材料の再生可能資源であるヘンプですが、マリファナとは異なり「ハイ」になる効果はありません。
ヘンプの品種にはTHCがほとんど含まれておらず、ヘンプを吸ってTHCを摂取するよりも早く、身体がTHCを処理します。
ヘンプでハイになろうとしても、ベッドで頭痛に苦しむことになるでしょう。
THCについては以下の記事で詳しく解説しています。
⇒大麻の主成分であるTHCってどんな成分?THCの歴史や効果・効能を解説!
ヘンプが違法であった歴史
1937年、アメリカはマリファナ税法を制定し全ての大麻品種の栽培と販売を厳しく規制しました。1970年の規制物質法はヘンプを含む全ての形態の大麻をスケジュールⅠの薬物として分類し、米国での栽培を違法にしました。
わずかな量のTHCが含まれている限り、米国では他の国から大麻を輸入しなければなりません。欧州連合とカナダではTHC0.3%が大麻とヘンプの線引きになっています。
この長期的な規制の結果として、人々は大麻植物の工業的側面を忘れ、ヘンプを従兄弟であるマリファナと誤解しています。
ヘンプの合法化
長期間に渡り規制され、マリファナと誤解されてきたヘンプですが、2021年現在、米国内では合法化に大きな動きが見られます。
米国の(2019年〜2023年)農業政策を定めた2018年度改正農業法が2018年12月20日に成立しました。法案には産業用大麻(ヘンプ)の大規模栽培を認める条項が含まれており、農業者支援の一環として、ヘンプが農作物保険の対象になりました。
さらに、研究開発でも連邦政府の助成金の支援が可能になり、連邦法において、ヘンプは規制対象物質から外され、違法薬物でなくなりました。
日本とヘンプの関わり
戦後すぐ、GHQから日本に出された覚書の中に、『麻薬系のものはぜんぶダメ、全面禁止に』という一項があり、当時の日本では普通に大麻が農作物として栽培されていたので、農水省は粘り強く『そもそも大麻と麻薬は違います』と主張をしました。
その結果、重要な農作物であることが理解され、1948年に7月10日に、治療を目的に施用する医師が対象の麻薬取締法と、農家が対象の大麻取締法の二つの法律が同時に成立しました。
これによって一応、知事の免許があれば農家は大麻を栽培できることになりました。
大麻取締法の制定には、1933年の禁酒法解禁が関係しています。1950年頃、免許を持った大麻の栽培者の数は2万〜3万人だったが、60年代になると生活様式の変化で下駄から靴に代わり、大麻需要の約50%を占めていた下駄の鼻緒の芯縄の需要が激減しました。
大麻繊維から化学繊維に変わり、栽培者は毎年1000人ほど減り、75年には総数で1000人を切っていました。
日本では、大麻取締法で医療研究ですら禁止されていましたが、2019年3月と5月の秋野公造参院議員による国会質問で、大麻由来の薬物の臨床研究が一定の条件で認められるようになりました。
2019年現在、北米を中心に大麻の見直しが進み、グリーンラッシュと呼ばれる大きな流れがあります。ですが未だ日本では『違法な薬物』というイメージが強いです。最近ではヘンプ、医療大麻、CBDといった言葉がメディアにも少しずつ登場するようになってきました。
しかし、縄文時代からほんの60〜70年ほど前まで、日本人の衣食住を支え続け、とても身近な存在であった『農作物としての大麻』は忘れ去られようとしています。日本人と大麻という農作物の関わりは深く、長いものです。
まとめ
今回はヘンプ(麻)について解説しました。
ヘンプはTHC0.3%未満でハイにさせる効果のない大麻を指します。ヘンプは数千の製品に使用可能な原材料の生成可能な資源として利用可能なほか、土壌の無害化などの効果を持つ最も古い栽培植物という顔を持ちます。
ヘンプについて少しでも関心を持ってもらえたら嬉しいです。
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Kohei
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