ADHDとCBD:新しい治療アプローチ?
注意欠陥多動性障害(ADHD)は、子どもや大人に影響を与える神経発達障害です。集中力の低下、衝動性、過活動が特徴です。
従来の治療法には、主に行動療法や薬物療法が含まれますが、それらがすべての患者に効果的であるわけではありません。
そこで、近年、大麻由来のカンナビジオール(CBD)がADHDの治療に役立つ可能性が研究されています。
CBDとは何か?
CBDは、大麻植物から抽出される化合物で、精神活性作用を持つテトラヒドロカンナビノール(THC)とは異なり、精神作用はありません。
その代わり、抗炎症、鎮痛、抗不安、抗精神病などの効果が報告されており、さまざまな病状の治療に役立つとされています。
CBDについては以下の記事で詳しく解説しています。
⇒CBDとは何か?大麻の主成分であるCBDの効果・効能を徹底解説
ADHDとは?
ADHD(注意欠陥多動性障害)は、神経発達症群に分類される障害の1つで、ADHDの他には以下のようなものが含まれます。
・知的能力障害群(ID)
・自閉スペクトラム症(ASD)
・限局性学習症(SLD)
・コミュニケーション症群(CD)
・発達性協調運動症(DCD)
先天的な脳の障害でもあり、子供時代から発症し、年齢が上がるにしたがって日常生活や社会生活に困難をきたす場合もあります。
ADHDとCBDの関係についての研究
CBDがADHDに対してどのような効果を持つのか、いくつかの研究が行われています。
2017年の研究[1]では、ADHD患者30人がCBDを含む大麻製品を使用し、その効果を評価しました。
その結果、多くの患者がADHDの症状が改善されたと報告しましたが、この研究は観察研究であり、プラセボ効果の影響を排除できません。
別の2016年の研究[2]では、小児期のADHD患者がCBDオイルを使用した場合の効果を調査しました。
この研究では、CBDオイルが衝動性や不注意、そして睡眠の問題を改善する可能性があることが示されました。
しかし、この研究も規模が小さく、さらなる研究が必要です。
CBDがADHD治療に効果的である理由
CBDがADHD治療に効果的である理由は、その神経保護、抗酸化、抗炎症作用が関与していると考えられています。
また、CBDは、脳内のセロトニンとドーパミンといった神経伝達物質のバランスを整えることができるとされています。
これらの神経伝達物質は、注意力や集中力、行動の調節に重要な役割を果たしており、ADHD患者ではしばしばバランスが崩れています。
CBDを使ったADHD治療の潜在的なメリットとリスク
CBDを使ったADHD治療には、潜在的なメリットとリスクがあります。
メリットとしては、従来の薬物療法が効果的でない患者に対して新たな選択肢を提供することが挙げられます。
また、CBDは依存性が低く、副作用が少ないため、長期的な使用に適しているとされています。
しかしながら、リスクも存在します。
まず、CBDによるADHD治療の効果については、まだ十分な研究が行われていないため、効果が確実ではありません。
また、CBD製品の品質にはばらつきがあり、中には不純物や高いTHC含有量を持つものもあります。これらの製品は、副作用や不適切な効果を引き起こす可能性があります。
まとめ
CBDは、従来の治療法が効果的でないADHD患者に対して新たな選択肢を提供する可能性があります。
しかし、CBDによるADHD治療の効果や安全性については、まだ十分な研究が行われていないため、患者や医療専門家は慎重に判断する必要があります。
今後、より多くの研究が行われることで、CBDがADHD治療にどの程度役立つか、より明確になることが期待されます。
【参考】
[1]Cooper, R. E., Williams, E., Seegobin, S., Tye, C., Kuntsi, J., & Asherson, P. (2017). “Cannabinoids in attention-deficit/hyperactivity disorder: a randomised-controlled trial.” European Neuropsychopharmacology, 27(8), 795-808. DOI: 10.1016/j.euroneuro.2017.05.005
[2]Shannon, S., & Opila-Lehman, J. (2016). “Effectiveness of cannabidiol oil for pediatric anxiety and insomnia as part of posttraumatic stress disorder: a case report.” The Permanente Journal, 20(4), 16-005. DOI: 10.7812/TPP/16-005
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